「車なし世帯」が増加〜選択肢の拡大が主因

 交通手段の増加や在宅勤務の普及を背景に、国内で車を1台も持たない世帯が増えていることが、各州当局者でつくる米国運輸交通担当者協会(AASHTO)の調査で分かった。

 クリスチャン・サイエンス・モニターによると、車を持たない世帯の割合は1960年から減り続け、2007年には8.7%と過去最低を記録したが、11年現在は9.3%に増加した。「グレート・リセッション」と呼ばれる最近の景気後退による経済低迷が影響した可能性もあるが、AASHTO報告書は自家用車以外の交通手段が増えたことを主因に挙げている。

 自転車、徒歩、公共交通機関を利用する人が増えているほか、通信技術の進化で在宅勤務も増えている。カーシェア(会員制レンタカー)という選択肢もあり、都市部の住民には自家用車を持つ代わりに、ジップカーなどのサービスを利用する人が増えた。

 連邦道路管理局(FHA)が今年2月に発表した統計によると、国民1人当たりの車両走行距離(VMT)は04年に最高となった後、低下が続いている。このほか、お金がない、環境に悪い、デジタル技術を好むといった理由から若い世代が車の所有にあまり興味を持たなくなったという状況もある。

 車を持たなければ個人の炭素排出量は大きく減る。ただし、郊外の交通基盤や第2次大戦後に築かれた車中心の社会構造を考えると、当分は車がなくなることはなさそうだ。

この記事が気に入りましたか?

US FrontLineは毎日アメリカの最新情報を日本語でお届けします

最近のニュース速報

アメリカの移民法・ビザ
アメリカから日本への帰国
アメリカのビジネス
アメリカの人材採用

注目の記事

  1. 今年、UCを卒業するニナは大学で上級の日本語クラスを取っていた。どんな授業内容か、課題には...
  2. ニューヨーク風景 アメリカにある程度、あるいは長年住んでいる人なら分かると思うが、外国である...
  3. 広大な「バッファロー狩りの断崖」。かつて壮絶な狩猟が行われていたことが想像できないほど、 現在は穏...
  4. ©Kevin Baird/Flickr LOHASの聖地 Boulder, Colorad...
  5. アメリカ在住者で子どもがいる方なら「イマージョンプログラム」という言葉を聞いたことがあるか...
  6. 2024年2月9日

    劣化する命、育つ命
    フローレンス 誰もが年を取る。アンチエイジングに積極的に取り組まれている方はそれなりの成果が...
  7. 長さ8キロ、幅1キロの面積を持つミグアシャ国立公園は、脊椎動物の化石が埋まった岩層を保護するために...
  8. 本稿は、特に日系企業で1年を通して米国に滞在する駐在員が連邦税務申告書「Form 1040...
ページ上部へ戻る