アップル、新キャンパスで環境配慮 〜 2016年の完成に向け、計画詳細化
- 2013年12月2日
- 環境ビジネス
未来型企業キャンパスとして関心を集めているアップル(Apple)の新しい本社キャンパスが、実現に向けて進展している。
アップル本社があるカリフォルニア州クパティーノの市議会は10月半ばに、280万平方フィートにおよぶ「アップル・キャンパス2」の建設計画を全会一致で承認した。
グリーンビズ誌によると、新キャンパスは、同社共同創設者の故スティーブ・ジョブズ氏が「世界最高のオフィス・ビル」にしたいと願ったものだ。設計は、フォスター&パートナーズ(Foster and Partners)が手がけている。
新キャンパスの詳細は現在、市議会で審議されており、2016年の完成に向けた歩みがいよいよ本格化するとみられる。
現在の本社キャンパスに隣接する新キャンパスの建設計画は、7年前に始まった。新キャンパス構想については、車社会の郊外型生活を体現するものだと批判する声もあるが、設計や建設計画には環境配慮の要素も組み込まれている。
その環境配慮設計として特に注目すべき主要6点を以下に挙げる。
1)敷地の80%が緑空間
現在のキャンパスは、ほとんどすべてが建物とアスファルトで覆われているが、新キャンパスには7000本近い果物の木が植えられる。リンゴやアプリコット、チェリー、プラムなど、シリコンの発明前にサンノゼ地域の農業で中心的な役割を果たした木々だ。
「アップル・キャンパス2は、敷地の80%が緑の空間になる」と、アップルのリサ・ジャクソン環境活動担当福社長は説明している。
2)再生可能エネルギー
新キャンパスでは再生可能エネルギーを100%使用する。約8メガワットのソーラー・パネルを建物屋上や駐車場の屋根に設置する計画だ。また、台数は未定だが燃料電池も設置される
3)ネット・ゼロの建物
宇宙船のような外観となる4階建ての円形の建物には、1万4200人が勤務する予定だ。夏は涼しく冬は温暖という北カリフォルニアの気候を生かし、天然の風を取り入れることで、同等のキャンパスに比べて冷暖房の使用を30%減らし、燃料電池や温水貯蔵も活用する。使用電力と同じ分だけ自家発電する「ネット・ゼロ」が基本的に達成される見通しだ。
4)節水の配慮
最大9240台の駐車スペースを地下に造り、できるだけ多くの地面を残すことで、雨水の利用を可能にする。また、水を再生利用する配管も検討されている。さらに、節水型の蛇口や、屋根上の取水設備も使用して、典型的なシリコン・バレー社屋に比べて水道使用量を約30%減らす計画だ。
5)広範の廃棄物管理制度
アップルは、既存の本社から出るごみの約78%を埋立地に送らずほかの方法ですでに処理している。新キャンパスの計画では、建設工事中に出る廃棄物もできる限り再使用し、建物完成後には再生利用制度と堆肥化を導入する。
6)代替通勤手段
アップル新キャンパスの建設計画に対してこれまでに浮上した主な反対は、輸送交通計画に関するものだ。アップルではそれを受けて、キャンパス周辺の道路に自転車専用車線を設け、シャトルやバスを使って地域内の公共交通機関と接続しやすいように配慮した。15分以内の距離に住む社員には、それらの方法での通勤を奨励し、従業員の約3分の1にあたる5000人前後がその選択肢を選ぶとみられる。また、キャンパス内には電気自動車の充電施設300基が設置される見通し。
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