大手企業、炭素課金を見越して事業計画 〜 気候変動への態度を軌道修正

 石油メジャー5社を含む29社以上の大企業は、地球温暖化対策の一部として将来に炭素プライシング(課税や排出権取引など、炭素排出に何らかの支出を強いる制度)が連邦規模で実施されると仮定した事業計画を立てている。

 ニューヨーク・タイムズによると、環境データ会社CDPは最新の報告書のなかで、エクソンモービル、コノコフィリップス、シェブロン、BP、シェルのほか、マイクロソフト、ゼネラル・エレクトリック(GE)、ウォルト・ディズニー、コナグラ・フーズ、ウェルズ・ファーゴ、デュポン、デューク・エネルギー、グーグル、デルタ航空といった大企業が長期財務計画に炭素課金を織り込んでいると指摘した。

 CDPの北米社長トム・カーナック氏は、「炭素課金が自分たちの財政的未来の一部となることは避けられない、と石油大手5社が判断したようだ」「気候変動を一つの支出項目として認識しており、それが内部の意思決定につながっている」と報告した。

 どんな形で課金されるかはまだ不明だが、「それに向かう流れを変えられない、と各社は見ており、その認識が強まっている」とカーナック氏は分析する。

 その流れは、これまでの産業界とは異なると言える。産業界はこれまで、企業寄りの政策理念を掲げる保守政党の共和党を支持することで、企業活動に不利となる環境関連の立法を阻止してきた。共和党では、2012年の選挙において、ジョン・ハンツマン氏を除く全ての候補が気候変動の科学的根拠を疑問視または否定し、温暖化防止政策に反対し、産業界の期待に応えている。

 一方、主流の経済学者らは以前から、炭素課金を「最も効果的な温暖化対策」と位置づけてきた。それに対し、反対派はビジネスや消費者を苦しめるエネルギー税の一種と批判。政府によるこれまでの課金の試みも、化石燃料業界による巨額資金を投じた強力な対政府圧力活動によってつぶされてきた。

 1994年には当時のアル・ゴア副大統領(民主)が、炭素税導入を含む気候変動法案の可決を呼びかけた結果、多くの民主党議員が落選している。オバマ大統領も2009年に、民主党主導の下院に対し、温室効果ガス(GHG)の削減を図った排出量取引制度法案の可決を呼びかけたが、翌年には保守系の有権者団体ティー・パーティーが多額を投じて、その法案を支持した議員を排除した。

 しかし、近年は石油大手の態度が少しずつ変わってきた。エクソンモービルの場合、10年前には気候変動の科学的根拠を疑問視する研究団体に多額の支援をしていたが、現在は、化石燃料による炭素汚染が気候変動に影響を与えていることを公に認めている。

 また、石油大手は2010年以降、石油や石炭より炭素汚染の少ない天然ガス会社を買収し始めており、将来炭素課金が実施されても利益を維持できる体制を整えている。

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