自動車大手の手持ち資金増える〜市場の不透明感を反映

 市場が不安定で消費者の生活習慣が急速に変化する中、各自動車メーカーは多額のキャッシュをため込んでいるものの、その使い道については判断に苦しんでいることがコンサルティング大手アーンスト・ヤング(EY)の調査で分かった。

 ウォールストリート・ジャーナルによると、EYがジュネーブ自動車ショーで業界幹部100人を対象に調査したところ、世界の上位10社の手持ち資金は現在合わせて2210億ドルに上った。業界幹部の84%は「今後数カ月間に為替やコモディティ価格が経営に不利な方向に動く」と予想し、56%は「新興市場の需要減速で業界の成長が阻害される」と答えた。

 最近は先進国、新興国ともに需要の変動が激しく、従来は販売の主要な窓口だったディーラーの役割も縮小しており、メーカーは市場戦略の見直しを迫られている。今後は大規模な調査や新技術の開発も必要になるが、銀行は従来から自動車業界にあまり好意的ではなく、特に近年は欧米の経済問題などで銀行の業界に対する信頼感が揺らいでいる。

 このため自動車メーカーは、外部の投資家や供給チェーンに依存することなく自ら資金を蓄え、新しい市場に参入する時に備えているという。日産とともにロシアの自動車最大手アフトワズを買収した仏ルノーは、特に現在のウクライナ情勢とそれがロシアに与える影響を懸念している。

 一方で業界は、ショールームの役割が低下し来店客への売り込みに依存できなくなった分、車載通信機能、情報サービス、娯楽によって販売や利益率を増やそうとしており、EYは2025年までにこの分野は250億ドル市場になると予想している。

 米国の消費者は現在、新車購入時に平均5カ月間以上を情報収集に費やし、そのほとんどをオンラインで行っている。また英国では、新車購入者がディーラーを訪れる回数が10年前の5〜6回から2回以下に減っている。

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