太平洋にも浮体式風力発電施設〜オレゴン沖の建設計画に認可
- 2014年3月10日
- 米国ビジネス
浮体式洋上風力発電施設の開発大手プリンシプル・パワー(ワシントン州)は10日までに、オレゴン沖の太平洋で浮体式タービンを建設する計画について内務省から許可を取り付けた。
ブルームバーグ・ニュースによると、最大出力は30メガワット(MW)、建設コストは2億ドルとなる見通しで、独シーメンス製の6MWタービンを5基、オレゴン州の海岸から約15マイルの沖合に浮かべ、2017年には海底ケーブルを使って電力供給網(グリッド)につなげる予定。
太平洋での浮体式タービン建設はこれが初めてだが、エネルギー省のウォルト・ムジアル研究員は「米国の太平洋岸には900ギガワット(GW)を超える沖合風力発電の可能性がある」と推定しており、これはほぼ既存の国内総発電能力に匹敵する規模。
風は陸地より海上の方が強く安定しているが、海底に基礎を築いてタービンを固定する従来の着床式洋上発電システムは、水深や設置場所が制約されるほか、より多くの許可が必要で、景観の破壊を懸念する住民らの反対にあう可能性も高い。
これに対しプリンシプルの技術は、いかりを使って安定させるため、海岸から見えにくい20マイルの沖合に建設できる。すでに同社は11年、ポルトガルの沖合約3マイルにベスタス(Vestas、デンマーク)製の2MWタービンを設置しており、同事業の最終的な出力は150MWに達する可能性がある。現在は英国やアジアでも契約交渉を進めている。
このほか、国内ではメイン州で12MWの沖合風力発電計画が1月に認可されており、17年には送電が始まる予定。タービンの配備コストは、着床式の電力量1メガワット時(MWh)当たり約4〜5ドルに対し浮体式は6ドルと割高だが、これは初期の試作品に基づく数字のため、最終的に差はなくなる可能性がある。ムジアル氏は「初期の薄型テレビのように、何でも最初はコストが非常に高くつく」と指摘した。
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