電力データ活用を目指す二つの事業が始動 〜 公益会社と研究団体の挑戦

 スマート・メーターやスマート・グリッド設備から集められる大量のデータの活用を促進する二つの事業が始動した。

 グリーンテック・メディア誌によると、一つはテネシー州チャタヌーガの自治体が運営する公益事業体「EPB」で、もう一つは米エネルギー省から補助金を受けたピーカン・ストリート・プロジェクト(Pecan Street Project)によるもの。

 EPBはこのほど、新興企業の立ち上げや事業開発を促進するインキュベーター事業「ギグタンク(GIGTANK)」の申し込み受付を開始した。スマート・メーターから取得できる電力使用量データや、配電自動化システムおよび電圧最適化システムから入ってくる電圧や資産管理に関するデータといったEPBの保有する巨大なデータの活用方法の開発を目指す地元の起業家を支援する。

 一方、ピーカン・プロジェクトは、2010年の設立以来、スマート・グリッドから集めた数十億というデータ収集点を含むプラットフォーム「ウィキエネルギー(WikiEnergy)」を開放した。

 どちらの事業も、これまであまり開示されることのなかった公益会社の保有データに対して他社のアクセスを可能にするものだ。

 個人電力顧客のデータを一定の形式で開示する「グリーン・ボタン・コネクト」構想に似ているが、それら二つの事業では、データ形式に収まらないものも対象となる。公益会社によるデータ共有を今後どのように行うかについて、ある種のモデルを示すものとみられる。

 チャタヌーガのギグタンク・プロジェクトは、3億ドルを投じて同市に導入されたギガビット級の光ファイバー網を使って、過去3年ほどにわたって進められてきた。

 エネルギー省から1億1100万ドルの補助金を受け、当初は賞金10万ドルのコンテストとして始まったが、過去2年ほどは新興企業育成サービスとして活動してきた。光ファイバー網の活用度を向上させる起業家の発掘を目指している。

 EPBの技術コンサルタントを務めるアンディ・キャンベル氏によると、提供するデータは顧客のプライバシーを守るため匿名化できるものに限られる。しかし、その制約を除けば「メーターからのデータだけでなく、SCADA(Supervisory Control And Data Acquisition)通信網上の装置からのデータといった多種多様のデータを対象にできる」。

 ピーカン・プロジェクトのほうは、データ・ストアーとなるウィキエネルギーの非営利目的の研究利用を模索している。プラットフォームは無料で提供されるが、開示対象は大学や非営利研究機関の職員または学生に限定される。

 その取り組み方は、大学教授と大学院生のグループとして設立されたピーカン・ストリート・リサーチ・コンソーシアムの立場に則っている。ウィキエネルギーの参加者には、「データを検証し、データに意義をもたらす」義務が課せられる。

 ピーカン・ストリートがこれまで手がけた事業には、ソーラー・パネルの方向を変化させてピーク時間帯の負荷に合わせる方法の研究や、個人住宅および集合住宅を対象としたエネルギー監視および管理実験、さらにゼネラル・モーターの電気自動車「ボルト」とスマート充電API(application programming interface)に準拠した住宅の統合実験がある。

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