ファースト・ソーラー、マレーシア工場を稼働 〜 シリコン系パネルを生産
- 2015年1月26日
- 環境ビジネス
ファースト・ソーラー(First Solar)はシリコン系ソーラー・パネルの生産をマレーシア工場で開始した。
グリーンテック・メディアによると、同社がマレーシアのクリムに開設した新工場は、年間100メガワットの生産能力を有する。同社広報は、「まず最初の組み立てラインで限定的な生産を開始した。需要に合わせて生産を拡大していく」と説明している。
当初の生産分の多くは、日本に向けて出荷される製品だ。ほかの地域向けの生産も今後検討していく、と広報担当は述べた。
ファースト・ソーラーは2013年4月にテトラサン(TetraSun)を買収して、シリコン系ソーラー・パネル市場に正式に参入した。同社の主力はテルル化カドミウムを使用する製品で、それ以外にCIGS系を検討したこともあった。
テトラサンは、従業員14人、資本1200万ドルの企業で、買収された時点では小さな試験的工場を持つだけだったが、ファースト・ソーラーの資金力を受けて、技術が大規模の商業生産に発展した。
ファースト・ソーラーでは、テトラサンのパネルの特徴を次のように説明している。
1)独自のセル設計によって変換効率が21%を上回る可能性がある。
2)156ミリメートルのn型ウエハーを使用し、p型より効率が高い。
3)156ミリメートルのウエハーは、125ミリメートルのウエハーより出力が大きい。
4)50ミクロン未満の銅電極を使った金属化処理によって、銀をスクリーン印刷した標準的な製品に比べて電導性が高く、抵抗損失が少なくなっている。
5)温度係数が-0.3%/℃と低いため、伝統的な結晶化技術(温度係数は-0.45%/℃前後)よりも発電力に優れている。
GTMリサーチのシャイアム・メタ上席アナリストは、「銅版の金属化を用いることによって、真に低コストかつ高効率の製品となる可能性がある」と話す。ただ、金属化溶液の商業利用にはこれまでのところ課題も多い。
ファースト・ソーラーのラフィ・ガラベディアン最高技術責任者は、「きわめて高効率のセル技術を手に入れたいと思っているが、どんな犠牲を払ってでも効率を上げようというつもりはない」「高効率の技術を持っているが高価すぎるという理由で買収しなかった企業がある。当社は現実的な取り組みを選んだ」と説明している。
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