クラウド事業失敗で正念場のHP 〜 中小の特定顧客向けサービスに軌道修正
- 2015年4月15日
- ハイテク情報
ヒューレット・パッカード(HP)は1年前に、クラウド電算の世界を同社の技術によって変えると考えていたが、実際には、クラウド電算の方がHPの将来を揺るがそうとしている。
ニューヨーク・タイムズによると、HPはパブリック・クラウド電算サービス市場において、大手のアマゾンやグーグル、マイクロソフトに対抗する姿勢だったが、それらの3大パブリック・クラウド・サービスの勢力は強まるばかりで、HPでは、同事業からの撤退検討を余儀なくされている。
HPは依然として、世界中の企業やデータ・センターにサーバーを提供する大手だが、クラウド・サービスでは苦戦を強いられ、HPの顧客たちがクラウド・サービスを提供するようになりつつある。
そうしたなか、同社のメグ・ホイットマン最高経営責任者(CEO)は、中小規模のクラウド電算システムの構築および提供に焦点を合わせようと考えている。
たとえば、HPの顧客であるフォックス・エンタテインメントは、HPのサーバーを使う一方で、電子メールやデータ処理にはマイクロソフトの製品、顧客関係管理にはセールスフォース(Salesfoce.com)のクラウド製品を使っている。HPではそういった企業に対し、一元管理できるクラウド・サービスを提供しようと考えている。
HPはこれまで、企業向けサーバー市場を掌握し、それにともなう管理やセキュリティーといった派生サービス事業も順調に伸ばしてきた。そのため、パブリック・クラウド・サービス事業で市場を獲得できる、とHPは考えたが、それが誤算となった。
HPは2015年10月に分社化される。一つはクラウド電算技術を含む法人向けITサービスの会社となり、もう一つはパソコンやプリンターを中心とする消費者製品を製造販売する。
HPの従業員がその大転換をどこまで理解してどのように対応していくのかを同社経営陣がどこまで把握しているのかについて疑問も指摘され、HPの将来には不透明要因が増えている。
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