クラウドDDM、産業用立体印刷で勝負 〜 UPSキャンパスで試験サービス開始

 立体印刷や付加製造(Additive Manufacturing=AM)によって製造業に大きな変革がもたされると期待される一方、現実化するのはまださきの話と思われていた。しかし、クラウドDDM(CloudDDM、ジョージア州アトランタ拠点)の試みによってその実現が早まる可能性が出てきた。

 オートメーション・ワールド誌によると、クラウドDDM(CloudDDM)は最近、運送大手のUPSがケンタッキー州ルイスビルで運営するUPSサプライチェーン・ソリューションズ・キャンパス内にAMシステムを設置し、AMサービスを開始した。

 同キャンパスは、世界最大の自動配送基地と言われる。クラウドDDMはそこにAMサービス拠点を置き、顧客から受注した設計図にもとづいて立体印刷で製造し、UPSによって配送する。配送センター内で製造することによって、競合他社より6時間早く処理できる。

 クラウドDDMのサービスは完全自動化されており、ほとんどの産業界で必要とされる部品類の注文に現場管理者一人で対応できる。

 クラウドDDMのシステムは、顧客から受注すると、AMシステムが製造にかかる時間のほか、利用可能の原材料、色、製造に関する優先条件をもとに見積もりを出す仕組み。顧客は、配達までの時間として、1、2、5営業日から選択できる。

 同社は現在、立体印刷業界の標準規格となっているSTL(sterolithoguraphy)ファイル形式の設計だけを受け付けている。今後は、STEPやパラソリッド(Parasolid)といった別形式にも対応していく考えだ。

 同システムは、立体印刷の原材料としてABSやポリカーボネート、ポリカーボネートABS、ULTEM1010といった4つの熱可塑性プラスチックに対応している。

 クラウドDDMは、産業用規模に対応することを目的としており、最大で5000個の注文に対応する。5000個というのは、立体印刷業界では最大級。

 同社の競合社には、シェイプウェイズ(Shapeways)やマテリアライズ(Materialise)がある。クラウドDDMでは、競合社が対応できない規模の注文を受けられるようにすることに注力しており、早さと量によって競争力強化を狙っている。

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