正義感のあるハッカーを企業を味方に 〜 情報保護強化新興企業の斬新な試み
- 2015年6月15日
- ハイテク情報
情報管理システムに問題を抱えた企業と、問題を解決したいと考える正義感あるハッカーを仲介するカリフォルニア州の新興企業ハッカーワン(HackerOne)が注目されている。
ニューヨーク・タイムズによると、ハッカーワンは、企業各社のセキュリティー問題を見つけて報告することをハッカーに奨励し、正義感あるハッカーに報奨金を払ってもよいと考える企業と結びつけるサービスを提供している。
同社は、ハッカーへの報奨金とその20%の手数料を顧客企業に請求する。同社は現在、約1500人のハッカーを抱え、これまでに約9000件のバグ(システムの不具合)を見つけ、3000万ドル以上の報奨金を集めている。
同社を創設した4人のうち二人は、フェイスブックやグーグル、アップル、マイクロソフト、ツイッターを含む技術企業100社のセキュリティーの弱点を指摘する報告書「ハック(Hack)100」を2011年に作成して各社に警告した20代のオランダ人ハッカー。
名簿に載った企業の3分の1は警告を無視し、3分の1は謝意を示したものの問題を修正せず、残りの3分の1は急いで修正した。
フェイスブックは、警告メールを受け取ったシェリル・サンドバーグ最高業務責任者(COO)が商品セキュリティー担当者のアレックス・ライス氏に対応を指示した。ライス氏は二人のハッカーを昼食に招いて問題修正への協力を依頼し、4000ドルの報奨金を払った。
ライス氏はその1年後、ハッカーワン創設に加わり、「すべての技術には弱さがある。責任感のあるハッカーに知らせてもらう開かれた仕組みがなければ、企業は闇市場での攻撃という手痛いかたちによってそれを知らされることになる」と話す。
ハッカーワンはこの1年に、ヤフーやスクエア、ツイッターを含む技術大手のほか、銀行や石油会社といった非技術系業界の企業とも取り引きしている。
13歳からペイパルやフェイスブックへのハッキングを始めたという現在18歳のオリバー・ベッグさんは、ペイパルで10件、フェイスブックで1件のバグを見つけ、5000ドル近くを手にした。ベッグさんはさらに、ハッカーワンを介して26社のシステムにバグを見つけ、総額4万ドル以上の報奨金を稼いでいる。
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