運賃下落で貨物船の解体増加〜需要低下と供給過多で

 コモディティ価格の低下や貨物船の供給過多を受け、海運料金が採算水準以下に落ち込んでおり、船をスクラップや運休にする船主が増えている。

 ウォールストリート・ジャーナルによると、乾貨物を運ぶばら積み貨物船(ドライバルク船)の外航不定期線運賃を示すバルチック海運指数(BDI)は、中国など主要輸入国で鉄鉱石や石炭の需要が下がったため数十年ぶりの低水準に落ち込んでおり、2月は29年ぶりの最低を記録した。

 海運コンサルタントによると、中国は石炭から天然ガスへとよりクリーンな発電燃料を使うようになり、自前のドライバルク船も建造を始めており、バルク船の需要に悪影響を与えている。BDIは2000〜3000ポイントが損益分岐点と言われるが、最近は630ポイントまで下落。コモディティの運搬船では世界最大のケープサイズ船は、1日の貨物輸送料が約1万5000ドル以上でないと利益が出ないが、現在は5000ドル前後で推移している。

 シンガポールのブローカーは「ケープサイズは1年以上の定期用船がなくなり、25%以上の供給過多で、船舶所有者の大部分は船を売却してスクラップにする以外わずかの選択肢しかない」という。海運情報会社ベッセルズバリュー・コムによると、今年に入ってすでに203隻(計1700万トン)がスクラップにされており、このうち1000万トンがケープ級だという。14年は通年の総スクラップ量が1400万トンだった。

 ドライバルク船会社は、今年に入って9社以上が破綻して会社更生手続きの適用を申請しており、年末までには倍に達する可能性もある。一方、経済的に余裕のある船主は経費を削減するためアジアの港でケープを休眠させている。

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