ソーラーインバータ事業から撤退〜アドバンスト・エナジー
- 2015年7月21日
- 米国ビジネス
電源制御機器開発のアドバンスト・エナジー(AE、本社コロラド州)は、ソーラー発電用インバータ(交流変換器)事業からの撤退を発表した。
ロイター通信によると、同社は世界3位の米ソーラー機器市場で新参の急増による競争激化と値下げ圧力に直面し、消費者を引きつけられなくなった。半年前には「この事業の売却を試みるか、合弁事業、提携、スピンオフ(分離・独立)、ライセンス供与などの選択肢を検討する」と発表していた。今後はパワー・プレシジョン事業に力を入れる。
市場調査のIHSによると、AEのインバータ部門は3相セントラル・インバータの販売を主力とし、米国では2010年に首位になったこともあったが、14年には3相ハイパワー・インバータの米国シェアが大幅に低下、価格も急落したため、それまでの2位から5位に後退、世界順位も前年の3位から11位に転落した。
この5年間は、米PVパワード、独レフソルの同業2社を買収し、3相ストリング(直列接続型)インバータなど製品の拡大も行って事業改善を図り、15年4月には米国で325メガワット(MW)のセントラル・インバータ供給契約、6月にはトルコで50MWの3層ストリング・インバータ供給契約を取り付けていた。
これまでAEの強みの1つは、半導体機器など他の事業で計上した利益による競合の買収だったが、13年のレフソル買収後は、インバータ需要が欧州からアジアに急速以降し、価格も低下したため売り上げが大打撃を受けた。また欧州市場が下がる一方、日本や中国といったアジアの主要市場は参入が難しいため、多くのサプライヤーが米市場に集中し、米国の価格がより急落してAEが以前から抱えていた問題がさらに加速された。
この記事が気に入りましたか?
US FrontLineは毎日アメリカの最新情報を日本語でお届けします
最近のニュース速報
-
2024年4月29日 アメリカ発ニュース, ハイテク情報, 米国ビジネス
米商務省、TSMCのアリゾナ工場への投資を提案 〜 米中緊張悪化を背景にチップの国産化に重点
-
ディープフェイク、金融サービス業界をいよいよ標的に 〜 生成人工知能による音声模倣で詐欺急増は必至
-
2024年4月25日 アメリカ発ニュース, 米国ビジネス, 自動車関連
広告嫌いのテスラが一転、積極展開
-
ビットコイン半減は価格にいかに影響するのか 〜 最高値更新から乱高下、次の半減期が目前に
-
2024年4月22日 アメリカ発ニュース, 米国ビジネス, 自動車関連
ボルティモアの橋崩落、輸出・小売業者に影響
-
米国のMBA課程、人工知能分野の教育を積極化 〜 会社で求められる技能に学生側も関心を強める
-
2024年4月18日 アメリカ発ニュース, 米国ビジネス, 自動車関連
テスラ、急速充電網を開放~EV普及の節目となるか
-
2024年4月15日 アメリカ発ニュース, 米国ビジネス, 自動車関連
EV生産コスト、27年にはガソリン車より安く~ガートナーが予想
-
人間の労働力の方が人工知能より安価 〜 MITの研究、雇用機会の大部分は人工知能にまだ奪われないと結論
-
ドローン配送に現実味~運用範囲広がる