プライスウォーターハウスクーパース(PwC)による毎年恒例の調査報告「戦略&グローバル革新調査(Strategy& Global Innovation Study)」が27日に発表され、そのなかで、世界の大企業の研究&開発(R&D)費が、中国を筆頭にアジアに流れている動向が浮き彫りにされた。
PwCは、直近年度の1年間にもっとも多くのR&D費を支出した世界上位100社の上場企業を対象に調査を実施。その結果、R&Dは「アジアの世紀」に突入している、とPwCは結論づけている。
フォーチュン誌が報じた同調査報告書によると、アジアは現在、企業R&D予算の主要投資先(支出先)になっており、2015年に入ってからは、北米の1570億ドル(全体に占める割合は33%)を抜いて1660億ドル(同35%)を記録し、欧州の1330億ドル(同28%)も上回った。
2008年の企業R&D支出額では欧州が首位でアジアは3位だった。
アジアでのR&D支出増加は中国の台頭によって支えられている。中国内に投じられた企業R&D支出は、2007年から2015年に79%も増え、国別でも首位の米国に迫る勢いだ。
PwCでは、外国企業によるR&D支出を「輸入されたR&D(imported R&D)」と表現している。「輸入されたR&D」に限定すれば、中国よりもインドの成長のほうが大きく、インドではそれが過去8年間に116%増を記録している。
一方、欧州内でのR&D支出は低迷傾向にある。特にフランスとドイツでは、国内R&Dを「輸出されたR&D(exported R&D)」に移行させている。
国別のR&D支出額では米国が首位を堅持し、2015年にすでに1450億ドルを記録している。米国の場合、国内R&D支出に加えて「輸入されたR&D」も旺盛であるという強みがある。
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