スマート・シティーに使われる無数の検知器を地上と地下に設置することで、市民の健康状態にかかわる情報を細密に監視する試みが進められている。
PCワールドによると、サンフランシスコで先日開かれた「リ・ワーク・コネクト・サミット(Re.Work Connect Summit)」では、市民の健康に関係するスマート・シティー技術の応用例が紹介された。
マサチューセッツ工科大学(MIT)のセンサブル・シティー研究室の取り組みでは、下水管を流れる水を分析することで、疾病の蔓延状況を把握しようとしている。
「お腹のなかを見ることで人の健康状態について多くのことが分かる」「下水管には、トイレからの水が流れており、それを分析することで、市民のお腹のなかを分析できる」と、MITの研究員ニューシャ・ガエリ氏は説明している。
下水を分析すること自体は新しい発想ではなく、ほとんどの下水処理場ですでに行われている。しかし、MITの実験では、モノのインターネット(IoT=Internet of Things)技術を活用して、きわめて局所的なデータを収集する点でほかの研究と異なる。地区ごとのデータを取得して、感染病がどこから発生したかを把握するのが狙いだ。
一方、サンフランシスコの新興企業アクライマ(Aclima)は、空気質を調べるためのハードウェアとソフトウェア、そしてサービスを販売している。アクライマのシステムは、MITの実験と同様に、きわめて局所的な環境データを収集できる。
アクライマは2010年に、アルファベット(Alphabet)傘下のグーグル(Google)の施設群で室内空気質の試験ネットワークを構築した。世界各地で21棟の建物に500個の装置を設置して、二酸化炭素濃度といった大気データを計測している。
その後、屋外計測に手を広げ、現在では、グーグルの「ストリート・ヴュー」を撮影する車に空気質検知器を試験的に搭載し、ストリート・ヴューの車が各所を走り回るあいだに空気質のデータを集めている。アクライマは環境保護庁(EPA)とも協力している。
アクライマの空気質測定装置は、従来の装置よりもはるかに小さい。従来の装置は幅2フィート、高さ9フィートほどの箱が必要だが、アクライマの室内用検知器は、手のひらほどの大きさだ。それを応用した車載用システムは、小型ハッチバックの後部に収まる。
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