ゴキブリ・サイボーグで救助活動 〜 がれきに埋もれた被災者の捜索に現実味

 ゴキブリに発信機を取り付け、災害現場の救援活動に使おうという研究が進められている。

 クリスチャン・サイエンス・モニター紙によると、ノース・カロライナ州立大学の研究班は、がれきの下を移動しながらデータ収集や救援隊との交信ができるよう、コンピュータ・チップ入りバックパックを背負わせたゴキブリ・サイボーグの開発に取り組んでいる。

 1999年にトルコで2万人近い死者を出したイズミット地震のボランティア活動をきっかけに研究を始めたというアルパー・ボズカート助教授(電気およびコンピュータ工学)は、「行方不明者の捜索を短時間で実行しなければならない。時間がもっとも重要だが、現状ではそれを提供できる技術がない」と話す。

 ゴキブリの触覚は、何かに触れると脳に電気信号を送り、脳からは障害物を避けるため進行方向を調整するよう指令が出る。

 ボズカート助教授は、ゴキブリの触覚に着けてにせの刺激を与え、動きを操作できる電極を開発した。それを電池やマイクロチップ、指揮所と交信するための無線装置、音で位置特定のための三角測量を行うマイクロフォンをまとめてゴキブリに背負わせた「バックパック」に接続し、ゴキブリの脳の延長として機能するようにした。

 ゴキブリはあちこち動きまわる習性があるため、被災地の有害な環境やがれきの散らばる場所でもコンピュータとつながる「サイバー・ゴキブリ」の群れを放てば、情報を収集しつつ無作為に動き回って、生存者の捜索が劇的に迅速化できると期待される。

 開発が成功すれば、ゴキブリが遠く離れてもバックパックを通じて現場に戻るよう遠隔操作できるようになる。ゴキブリの触覚が生存者を見つけると、固定された無線塔の発信機が作動してそのゴキブリと生存者の位置を特定できる。

 研究班は今後、ビルの崩壊現場を想定した実験を実施する予定。

この記事が気に入りましたか?

US FrontLineは毎日アメリカの最新情報を日本語でお届けします

最近のニュース速報

アメリカの移民法・ビザ
アメリカから日本への帰国
アメリカのビジネス
アメリカの人材採用

注目の記事

  1. 今年、UCを卒業するニナは大学で上級の日本語クラスを取っていた。どんな授業内容か、課題には...
  2. ニューヨーク風景 アメリカにある程度、あるいは長年住んでいる人なら分かると思うが、外国である...
  3. 広大な「バッファロー狩りの断崖」。かつて壮絶な狩猟が行われていたことが想像できないほど、 現在は穏...
  4. ©Kevin Baird/Flickr LOHASの聖地 Boulder, Colorad...
  5. アメリカ在住者で子どもがいる方なら「イマージョンプログラム」という言葉を聞いたことがあるか...
  6. 2024年2月9日

    劣化する命、育つ命
    フローレンス 誰もが年を取る。アンチエイジングに積極的に取り組まれている方はそれなりの成果が...
  7. 長さ8キロ、幅1キロの面積を持つミグアシャ国立公園は、脊椎動物の化石が埋まった岩層を保護するために...
  8. 本稿は、特に日系企業で1年を通して米国に滞在する駐在員が連邦税務申告書「Form 1040...
ページ上部へ戻る