分散型エネルギー源(DER=distributed energy resource)の利用が拡大し、送電網への統合が進むにつれ、それらのデータを活用した予測機能が重要性を増している。
グリーンテック・メディア(GTM)は、報告書「Predictive Analytics for Utility Load and DER Forecasting 2016(公益負荷および分散型エネルギー源予想のための予測分析)」を発表し、DERデータにもとづく電力需要予測が重要になるという結論を示した。
同調査報告書は、配電と電力小売を手がける公益会社によって採用されている負荷予測ソリューションを詳しく調査した内容だ。
負荷予測はこれまで、限定的な過去の実績統計にもとづいて行われてきたが、分散型エネルギーの普及によってさらなるデータ収集の必要性が生じている。変圧所やフィーダー、顧客といったさまざまのレベルで予測するためだ。
必要とされるリアルタイムまたはほぼリアルタイムのデータは、スマート・メーターや送電網検知器、そのほかの装置から提供されるようになっている。公益会社はそれらを活用して、短期的かつ詳細の予測を立てることができる。
「配電を手がける公益会社では、分散型エネルギーの普及を受けて、送電網末端のアプリケーションに対するニーズが高まっている」と、報告書の執筆者でGTMリサーチの業界専門家アアクリティ・グプタ氏は話す。
「送電網管理や配電自動化に投資すれば、送電網の可視性が高まり、再生可能エネルギーの統合に役立つ。しかし、その投資の価値を最大限に引き出すには、さらなるデータと分析が必要だ」と同氏は指摘する。
公益会社は今後、需要電力料金の管理、盗難探知、負荷分散といった目的でも、データにもとづく予測機能を求めていく可能性が高い。
「分散型エネルギー源が普及するにつれ、予測ソリューションの重要性は高まるだろう。システムの信頼性、資源の配分、顧客維持を管理しながら、送電網と財務の両方に分散型エネルギーを統合させていくうえで、それらのソリューションが重要な役割を果たす」とグプタ氏は指摘する。
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