銃器大手の情報開示に問題 〜 NY市政監督官、SECに書簡
- 2016年3月24日
- アメリカ発ニュース
ニューヨークの市政監督官(オンブズマン)が、銃器メーカーのリスク情報開示に関して調査をするよう証券取引委員会(SEC)に圧力をかけている。
ニューヨーク・タイムズによると、レティーシャ・ジェイムス市政監督官はSECに書簡を送り、「銃器製造のスターム・ルガー(Sturm, Ruger & Company、コネティカット州)は、だれが同社の製品を使っているかについて投資家を惑わし、同社が直面する世評や法的責任に関するリスクを十分開示していない」と指摘。「銃メーカーはそのビジネスが引き起こす危険性や、株主にも及ぶリスクを明確にしなければならない」と強調した。
市政監督官は、昨年12月にも銃器大手スミス&ウェッソン(S&W、マサチューセッツ州)に関してSECに要請を行い、同社製品が犯罪に使われた頻度に関する情報を不正確に提供したり削除していないか、さらに商品が犯罪者の手に渡らないようどんな対策を講じてきたか調査するよう求めた。今回の書簡でも、スターム・ルガーの銃は犯罪で頻繁に使われているが、同社はその情報を財務報告書に盛り込んでいないと指摘している。
近年は、物言う株主(アクティビスト)も、銃メーカーや小売店に「販売する商品に関する世評のリスクを株主にきちんと説明しているのか」といった疑問を投げかけ、「リスクを十分に開示しないのはSECの規則に反する」と主張することが増えている。
すでにいくつかの公的年金基金が銃メーカーへの投資を取りやめ、2015年12月にはビル・デブラジオNY市長も市の年金基金大手に銃メーカー株を売却するよう呼びかけた。デブラジオ氏は、市長に当選する前は市政監督官だった。
ジェイムス市政監督官はこのほか、TDバンクにS&Wとの取り引きをやめるよう呼びかけ、昨夏は市最大の年金基金にウォルマートやディックス・スポーティング・グッズといった銃販売店の株売却を検討するよう要請している。(U.S. Frontline News, Inc.社提供)
この記事が気に入りましたか?
US FrontLineは毎日アメリカの最新情報を日本語でお届けします
最近のニュース速報
-
2024年5月20日 アメリカ発ニュース, ハイテク情報, 米国ビジネス
人工知能が農業におよぼす大きな変革 〜 遺伝子情報を駆使した品種改良に貢献
-
米技術大手ら、メキシコでの製造拡大に注力 〜 台湾の技術製品メーカーらに熱心に働きかけ
-
2024年5月16日 アメリカ発ニュース, 環境ビジネス, 米国ビジネス
米国内都市圏の住宅所有者らは自然災害に要注意〜異常気象による損害危険の高い地域が明確に
-
2024年5月16日 アメリカ発ニュース, 米国ビジネス, 自動車関連
ドライバーの過半数が「AVは怖い」~AAA調査
-
2024年5月13日 アメリカ発ニュース, 米国ビジネス, 自動車関連
EVへの関心、ますます低下~消費者、メーカーの思惑に反し
-
インフルエンサーとブランドをつなぐプラットフォームで台頭 〜 ショップマイ、1850万ドルを調達
-
シンケイ・システムス、魚の活け締め技法を機械化 〜 完成に接近、鮮魚流通網に革新をもたらす可能性
-
ドキュサイン、インテリジェント契約管理サービスを発表 〜 電子署名ソリューション以外に事業を拡大
-
2024年4月29日 アメリカ発ニュース, ハイテク情報, 米国ビジネス
米商務省、TSMCのアリゾナ工場への投資を提案 〜 米中緊張悪化を背景にチップの国産化に重点
-
ディープフェイク、金融サービス業界をいよいよ標的に 〜 生成人工知能による音声模倣で詐欺急増は必至