ドジャース新監督は沖縄生まれ! デーブ・ロバーツ氏、球団史上初のマイノリティー

文&写真/佐藤美玲(Text and photos by Mirei Sato)

 ”Welcome Home, Dave!”(おかえり、デーブ)
 12月1日、ドジャースタジアムは、旧友のホームカミングを迎える人たちでごった返し、あちらこちらで笑顔とハグが交わされた。

監督就任記者会見で、家族そろってドジャースのファンにお披露目 Photo © Mirei Sato

監督就任記者会見で、家族そろってドジャースのファンにお披露目
Photo © Mirei Sato

 メジャーリーグ(MLB)のロサンゼルス・ドジャースの新監督に、デーブ・ロバーツ氏が就任した。

 南カリフォルニア・サンディエゴ育ち。UCLA(ロサンゼルス)に進学し、1991〜94年、野球部で活躍した。残した盗塁「109」は、いまでもUCLA野球部の歴代ナンバーワン記録だ。

 1999年から2008年までメジャーリーグで活躍し、2002〜04年にドジャースでプレーした。センターを守る外野手として、302試合に出場。打率2割6分2厘。118盗塁(成功率82.5%)を決めた。

 特に、ボストン・レッドソックス在籍中の2004年、ア・リーグ決勝シリーズ、宿敵ニューヨーク・ヤンキースとの第4戦。ロバーツ氏が9回に決めた、ドラマチックな2塁盗塁は、ファンの記憶に残っている。0勝3敗でこの試合を迎え、あとがなかったレッドソックスだったが、この勝利で勢いに乗り、大逆転でヤンキースを退けた。

 2010年からサンディエゴ・パドレスのフロント・オフィスに入り、過去2シーズンは、パドレスでベンチ・コーチを務めていた。

 ドジャースが選考した9人の監督候補の中から選ばれて、古巣に戻ってきた心境を、「エキサイティング。人生がひと回りしたような感じだ」と語った。ドジャースを率いるのは、「dream job」。あこがれた、夢のような仕事だ、とも表現した。

父母と一緒に、息子と娘にドジャースのユニフォームを着せる、デーブ・ロバーツ新監督(右) Photo © Mirei Sato

父母と一緒に、息子と娘にドジャースのユニフォームを着せる、デーブ・ロバーツ新監督(右)
Photo © Mirei Sato

 ロバーツ氏は、43歳。日本・沖縄で生まれた。アメリカ海兵隊員のウェイモンさんと、那覇出身の栄子(えいこ)さん。二人の出会いが、第10代ドジャース監督を生むことになろうとは・・・。
 記者会見に同席した父と母は、「信じられませんよ」と感慨深げに話した。

 黒人と日本人の血を引くロバーツ氏は、ドジャースの球団史上、初めての「非白人」、マイノリティーの監督である。その歴史的な意義について、ロバーツ氏は、「最初にオファーをもらったときにはどれだけ大きなことか考えていなかった」という。が、「多くの人が道を切り開いてくれたと思う。ドジャースの最初のマイノリティーの監督であるということの責任を、決して軽くはとらえていない。一生背負っていくものだと思う」と話した。

就任記者会見で、報道陣からの質問に答えるデーブ・ロバーツ新監督 Photo © Mirei Sato

就任記者会見で、報道陣からの質問に答えるデーブ・ロバーツ新監督
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 ロサンゼルスには、北米で最大の沖縄出身者とその子孫のコミュニティーがある。県人会の活動も盛んだ。日系人であるロバーツ氏の地元チームへの監督就任、それも歴史的な就任を、だれもが歓迎している。

 記者会見で、コミュニティーからの応援やプレッシャーをすでに感じているか、と聞いてみた。

 「沖縄、ジャパン、は、私にとっては、母を意味します」と、ロバーツ氏。コミュニティーからの支援は感じているそうで、「プレッシャーはまだ受けていないけれど、そのうち出てくるかもね」と、栄子さんのほうを見やって笑っていた。

 ロバーツ氏には、母方の親戚がたくさん沖縄にいる。栄子さんの妹と弟、94際になる母・トミさんも、元気で沖縄に暮らしている。監督就任のニュースを聞いて、みんなからお祝いの電話がかかってきたそうだ。

 栄子さんは、「とっても嬉しいです。まさかここまでくるとは思っていませんでした。誇りに思います」と話した。「もっともっとがんばってほしいですね」とエールも忘れなかった。

ドジャースタジアムの電光掲示板に「Welcome Home Dave Roberts」の文字が Photo © Mirei Sato

ドジャースタジアムの電光掲示板に「Welcome Home Dave Roberts」の文字が
Photo © Mirei Sato

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佐藤美玲 (Mirei Sato)

佐藤美玲 (Mirei Sato)

ライタープロフィール

東京生まれ。子供の時に見たTVドラマ「Roots」に感化され、アメリカの黒人問題に対する興味を深める。日本女子大英文学科アメリカ研究卒業。朝日新聞記者を経て、1999年、大学院留学のため渡米。UCLAアメリカ黒人研究学部卒業・修士号。UMass-Amherst、UC-Berkeleyのアメリカ黒人研究学部・博士課程に在籍。黒人史と文化、メディアと人種の問題を研究。2007年からU.S. FrontLine誌編集記者。大統領選を含め、アメリカを深く広く取材する。

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