シリーズ世界へ!YOLO⑳
スペイン・カタルーニャの美酒カヴァ
文&写真 / 佐藤美玲(Text and photos by Mirei Sato)
- 2017年6月1日
スペインのカタルーニャ地方といえば、芸術と情熱の都市バルセロナがあまりにも有名だ。その周辺は、近年注目されるスパークリングワイン「カヴァ」(Cava)の産地でもある。
カヴァの生産はスペイン全土で行なわれているが、ほとんどは、バルセロナの西、ペネデスと呼ばれる地域に集中している。山と地中海にはさまれて、ブドウ畑が続く。
主にここで育つ白ブドウ「xarello」(シャレローともチャレッロとも発音する)を使って、カヴァの生産が2000年以上前から続いてきた。スペイン内戦や第二次世界大戦の最中、カヴァの売買は禁じられたが、地元では決して生産をやめなかったそうだ。
スペインのワインの美味しさは、よく知られている。一方でカヴァは、本家フランスのシャンペンに比べると、評価も知名度もいまひとつだった。伝統的なシャンペンと同じ製法でつくられて、値段はシャンペンに比べてかなり安い。コストパフォーマンスのよさが見直され、若者や観光客を中心に人気が出てきた。バルセロナからちょっと足をのばせば、ワイナリーをめぐって飲み比べができる、ワインとツーリズム両方の需要を満たせる、というメリットもある。
ヨーロッパでワイン観光産業会議「IWINETEC」を主宰し、「50 Great Cavas」の著書があるアンソニー・スウィフトさんは、「カヴァはワイナリーごとに生産方法に個性があって奥が深い」と話す。
ペネデスでは、カヴァは最低9カ月は寝かせるそうだ。15カ月、30カ月、と期間が長くなるにつれ、質と値段も上がる。口に含んだ途端、パチパチと弾けるバブリーなものから、ワインのように落ちついた飲みごたえのあるものまで、さまざまだ。
地元の人が推奨する飲み方は、開栓する前にボトルを氷水に30分以上つけて冷やす。グラスは、チューリップ型の細いクリスタルを選ぶとよい。
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旅のおすすめ情報
Freixenet (フレシネ)
www.freixenet.es
カタルーニャで100年以上カヴァをつくっている。世界最大のカヴァの生産者のひとつで、アメリカやアルゼンチンなどにもワイナリーを所有する。輸出先は約150カ国。日本やアメリカでもよく知られているブランドだ。地下18メートルの洞窟を利用したワインセラーを見学し、テイスティングができる。
Torres (トーレス)
www.Torres.es
ペネデスにブドウ畑とビジターセンターがあり、テイスティングができる。広大な敷地にアートが点在し、トラムで回って見学する。
Gramona (グラモナ)
www.Gramona.com
大型車は通れない坂道の路地にある老舗。4代続く家族経営。カヴァはオーガニック製法で、最低13カ月、最長7年半、寝かせる。
Sant Jordi Ca La Katy (カラカティー)
RestaurantSantJordiCaLaKaty.com
40年以上続く大人気のレストラン。ペネデス名物のローストチキン料理、カタルーニャの食を代表するチャトーソースを使ったサラダ、フレッシュなチーズケーキなどを、カヴァとのペアリングで。
取材協力(Special thanks to)
Catalan Tourist Board (www.Catalunya.com)
Turisme de Barcelona (www.BarcelonaTurisme.com)
IWINETC (www.iwinetc.com)
Hotel Barcelona Golf (www.HotelBarcelonaGolf.com)
Hotel Omm (www.HotelOmm.com)
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