超高齢化や貧困、変わる日系社会のニーズに対応、リトル東京サービスセンターがガーデナにOPEN
文&写真/佐藤美玲(Text and photos by Mirei Sato)
- 2016年2月20日
アメリカの日系移民社会は、いま、大きな過渡期を迎えている。超高齢化、介護現場の人手不足、医療費の高騰、貧困家庭の増加、ブラック企業による労働者の搾取、広がる格差…。日本では社会現象として日々語られている問題が、海を越えて、アメリカの日系コミュニティーにも忍び寄っている。
アメリカは広い。助けを求めれば、手を差し伸べてくれるところは沢山ある。しかし、日本から来た移民にとっては、言語の壁や、文化的なスティグマ、狭い日系社会でのプレッシャーや偏見、移民ビザや滞在資格ステータスの問題などで、なかなか行動に出られないケースが多い。行政や福祉サービスの網からも、漏れやすい。
こうした問題を少しでも解消して、必要としている人たちに援助の手が差し伸べられるように、と、リトル東京サービスセンター(LTSC)が、サウスベイのガーデナに支所をオープンした。
LTSCは、ロサンゼルス・ダウンタウンの歴史的日系人街リトル東京を拠点に、35年以上にわたって、高齢者や低所得者、社会的弱者などに、福祉サービスを提供している非営利団体だ。6種類の言語(日本語、韓国語、英語、スペイン語、広東語、北京語)で対応する。リトル東京に根を張りつつ、主に英語を話す日系アメリカ人、主に日本語を話す戦後移民、そして日系以外の幅広い人種や層もカバーしてきた。
サウスベイは、ロサンゼルス南部の郊外で、トーランスやガーデナを中心に、日本語を主とする日系コミュニティーが広がっている。LTSCは、これまでも、子育て教室やカウンセリングなどを通じて活動してきたが、オフィスを開設することで、より身近な存在となり、サービスが行き届くことを期待している。住民にとっも、リトル東京まで運転して行く必要がなくなり、「駆け込み」やすくなる。
2月19日、オープンハウスを開催し、スタッフらが集まって完成を祝った。場所は、「ガーデナバレー日系文化センター」の2階だ。広いスペースで、日本語の本が沢山ある。
ディーン・マツバヤシ・LTSC・エグゼクティブ・ディレクターは、「この場所が、サウスベイで助けを必要としている人たちにとってのよりどころとなってほしい。安心してここに来てもらい、サービスを提供したいと願っている」と話した。
ロサンゼルスの日系社会では最近、50年以上続いてきた「敬老」の老人ホームなど4施設が売却される、という大きな事件があった。
高齢化、介護の問題、それを支える若手人口の減少は、これからの日系社会にとって、避けて通れない大きな問題になっている。
マツバヤシ氏によると、ロサンゼルス郡に住む日系人口の19%が65歳以上で、4%が85歳以上。高齢者が人口に占めるこれらの割合は、ほかのどの人種・民族グループよりも高いという。
LTSCは、「サウスベイ日系社会のニーズ把握調査」を進めている。コミュニティーのリーダーたちから聞き取り調査をするなどして、高齢者問題を含めてニーズを把握し、今年の秋には結果を発表する意向だ。
⚫︎Little Tokyo Service Center South Bay Office⚫︎
2nd Floor, Gardena Valley Japanese Cultural Institute (1964 West 162nd Street, Gardena, CA 90274)
◾️問い合わせ:310-819-8659
◾️詳細:www.LTSC.org
予約なしで相談が受けられる「Walk-In Hours」は、月火木の10am〜12pm。そのほかの時間帯は予約が必要。
日系高齢者のためのケアギバーを募集中。
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