第66回 SATの前のPSAT

文&写真/福田恵子(Text and photo by Keiko Fukuda)


Photo © Keiko Fukuda

 SATといえば、大学のアプリケーション提出時にそのスコアが必要な全国統一テスト。その模試として10月に受けるのがPSATだ。SATと同様に英語と数学のテストで構成され、SATより試験時間は15分短いだけ。

 そして、ニナが、昨年10月のPSATの成績表を受け取ったのは1月末だった。4ページの成績表には、PSATのスコアがどのようにSATのそれに換算されるかが説明されているほか、すべての問題に関して、どれが正解でどれを間違えたかのリストも付いている。問題自体も生徒に戻されるので、自分で復習ができる。

 2月中旬には外部から講師を招いて、「PSATフィードバックナイト」が高校の講堂で開催されることになった。私はニナと一緒に参加する気満々で「行くでしょ?」と聞くと、「考えておく」との返事。当日になって「行こう」と言うと、「今日は宿題がたくさん出たから行かない。それに私はPSATの成績表をどう解釈するかは分かっている」とつれないことを言う。そうか、だったら分かっていない母親の私だけでもと、夕方6時からの説明会に出席してきた。

 講師はまず、奨学金に関する全国会議でフィラデルフィアから戻ったばかりだと触れた。「フィラデルフィアといえば、スーパーボウルで優勝したイーグルス。地元の熱狂といったら相当なものだった。地元愛が強い土地柄だ。しかし、アメリカのどこにいても同じ試験を受けて、それがアメリカのどこの大学の入学判定にも使われる、それがSATだ」と、うまく本題につなげた。

 以前は、大学によってACT(SATとは別の全国統一テスト)の点数が採用されるか、SATが採用されるかが分かれていたそうだ。カリフォルニアの大学はほとんどがSAT、中西部はACTというように。しかし、今はどちらも大学側は受け入れてくれると講師は説明した。

スコア上位者には奨学金

 続いてPSATを受験する目的について。「SATのスコアに換算すると、自分がどのあたりにいるかをPSATで明らかにするため」。成績表には、テスト問題のカテゴリーごとに「スキルの強化が必要(赤)」「(大学合格の)基準値に近い(黄)」「基準値を超えている(緑)」との評価が色で示されている。

 講師によると、「PSATのスコアはスマート(頭脳明晰)かどうかにはあまり関係がない。これは準備することで上げられる点数だ。だから、どれだけの期間、集中して準備に取り組めるかでスコアは変わる。私が勧めたいのは、ジュニアで受けるPSATに備えるために、ジュニアになる前の夏休みにPSATの準備コースに参加すること」とのこと。

 なぜ、模試に力を注ぐのか? それは前述のように生徒がどのくらいの位置にいるかを確認するためだけでなく、奨学金にも関係してくるからだそうだ。「全国で1年にPSATを受ける高校生は150万人。その中からスコアが高い生徒が選ばれて、最終的に7400人に大学4年間で1万ドルの奨学金が授与される」。そこで会場から質問。「奨学金を受け取るために、PSATを受けた後に自分で申請しなければならないのか?」。いい質問だ。「いや、何もしなくていい。自動的にPSAT受験者全員のスコアが出た後、受験者本人ではなく高校に直接通知が入る。しかし、それまでには受験してから1年近く時間がかかる」。

 ここで講師は「ジュニアのPSATが終わると、その年度の後半から本番のSATが始まる。SATはジュニアの後半からシニアになった12月までに受けるが、シニアになるまで待ってはいけない。シニアになれば、大学への願書提出の準備でやることは満載だから、時間がいくらあっても足りない」と警告。

 最後に語られたのは「しかし、しっかりPSATに取り組んでSATで好成績を出したからといって、大学合格が約束されているわけではない。大学合格には3つのキーファクターがある。1つは学校でのいい成績。そしてSAT(またはACT)のいいスコア。最後にいい入学願書だ」ということ。

 帰宅してニナに概要を報告すると、「そうだね、分かってる」と言われた。一方の私は、親として子どもの状況把握のために必要な知識を得られたと満足したのだった。

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福田恵子 (Keiko Fukuda)

福田恵子 (Keiko Fukuda)

ライタープロフィール

東京の情報出版社勤務を経て1992年渡米。同年より在米日本語雑誌の編集職を2003年まで務める。独立してフリーライターとなってからは、人物インタビュー、アメリカ事情を中心に日米の雑誌に寄稿。執筆業の他にもコーディネーション、翻訳、ローカライゼーション、市場調査、在米日系企業の広報のアウトソーシングなどを手掛けながら母親業にも奮闘中。モットーは入社式で女性取締役のスピーチにあった「ビジネスにマイペースは許されない」。慌ただしく東奔西走する日々を続け、気づけば業界経験30年。

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