ルート61 音楽街道の旅

文/細田雅大(Text by Masahiro Hosoda)
写真/川畑嘉文(Photos by Yoshifumi Kawabata)

セントルイスの街角に立つチャック・ベリー像。ロックンロールを作ったのはこの人だPhoto © Yoshifumi Kawabata

セントルイスの街角に立つチャック・ベリー像。ロックンロールを作ったのはこの人だ
Photo © Yoshifumi Kawabata

4日目 11月5日
文豪の故郷を経てダヴェンポートへ

 モーテルの食堂で朝食をとっていると、受付の男性と宿泊客の女性が投票がどうとか話している。女性が一人になった時に話しかけてみた。「CNNとかでは大接戦と言われていますね」。投票日を明日に控えた大統領選のことである。見ず知らずの人間がいきなり政治に言及したせいか、彼女はちょっと警戒しているようだ。「私たちは旅行中の日本人なのですが、アメリカの政治に関心があるんです」と言うと、少しずつ話し始めてくれた。「間違いなく今回は接戦になるわ。お互いに言い分があるのは分かる。富裕層が稼げば、その富が下々に行き渡って中間層と貧困層が潤うという考えもあるけれど、私はもう誰に投票するか決めてるの」。投票日を翌日に控えて興奮していますかと尋ねると、少し笑いながら「もちろんよ」とのこと。
 チェックアウトの際、受付の男性から「どんな旅をしているのか」と聞かれ、旅の趣旨を話すと驚かれる。今年は61号線を旅する客が多いのだという。

 セントルイス中心部でミシシッピ河を渡り、隣のイリノイ州のカジノから名物の巨大オブジェ、ゲートウェイ・アーチを撮影。「ミシシッピ河を見たければカジノへ行け」という格言ができそうなくらい河沿いの景勝地にはカジノが多い。続いて、小さなお店が並ぶオシャレな通りデルマー・ループへ。ブルーベリー・ヒルというクラブの電光掲示板に「Nov.14 Chuck Berry」という表示。近くには彼のブロンズ像も立っている。エルヴィスがロックの王様だとしたら、この人はいったい何になるのだろう。ロックンロールを作った一人なわけだからロックの神様なのかもしれない。1926年生まれだから86歳になる。セントルイスはチャック・ベリーの出身地だが、今でも演奏しているとはさすがだ。

ミシシッピ河のほとりに立つセントルイスの巨大なオブジェ、ゲートウェイ・アーチPhoto © Yoshifumi Kawabata

ミシシッピ河のほとりに立つセントルイスの巨大なオブジェ、ゲートウェイ・アーチ
Photo © Yoshifumi Kawabata

マーク・トウェインが少年時代を過ごした家Photo © Yoshifumi Kawabata

マーク・トウェインが少年時代を過ごした家
Photo © Yoshifumi Kawabata

 セントルイスを出ると、またもや州間幹線道路と合流。小雨が降る。マーク・トウェインが幼少時を過ごした小さな町、ハンニバルに到着。文豪の名を冠した洞窟のそばにレストランがあり、トウェイン少年に強い影響を与えただろう大河を眺めながら昼食。ミシシッピ河で採れたカエルのフライをいただく。チキンを柔らかく淡白にしたような味。「Hotel Mark Twain」などと、ハンニバルではあらゆるものに文豪の名が付いている。幼少時を過ごした家の周囲は昔ながらの石畳。当時の薬局なども保存されていてタイムスリップした感あり。

マーク・トウェインが育った街、ハンニバルではリバーボートにも乗れるPhoto © Yoshifumi Kawabata

マーク・トウェインが育った街、ハンニバルではリバーボートにも乗れる
Photo © Yoshifumi Kawabata

 ハンニバルを出て3回目の給油。44ドル。アイオワ州に入り、日が暮れてからダヴェンポートにやっと到着。45ドルのQuad City Innに宿泊。晩ご飯はバーガーキング。運転に疲れ、レストランを探す気力はなく、ついつい街道沿いのファストフードのお世話になるというパターン。しかし「一日三食ファストフードでも平気です」と公言してはばからない川畑氏は逆に満足の様子。

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