第25回 カベルネ・ソービニョンと
ソービニョン・ブランの関係は?

文&写真/斎藤ゆき(Text and photos by Yuki Saito)

Photo © Yuki Saito

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 「カベルネ・ソービニョン(Cabernet Sauvignon)って赤ワインだから、白ワインのソービニョン・ブラン(Sauvignon Blanc)とは関係ないよね?」と聞かれたので、「おおありなの!だって、カベルネ・ソービニョンは、カベルネ・フラン(Cabernet Franc)とソービニョン・ブランの子供だもの」と答えたのがきっかけで、夕食会はブドウ品種の親当てゲームになってしまいました。

 ワインに使われるブドウは、フランスを中心としたヨーロッパ原産のヴィニフェラ種ですが、古代から突然変異や掛け合わせを繰り返し、現在では五千から一万種類もあるともいわれており、祖先をたどると面白いゲームになります。

 例えばカベルネ・フラン。 有名なボルドー品種ですが、 カベルネ・ソービニョンや、メルロー(これもフランの子孫)と混ぜて作るボルドーワインはフランスの代表作 。 カベルネ・フラン100%で作るワインでは、ロワール地方のシノン(Chinon)やブルグイユ(Bourgueil)という、かなり硬派な赤ワインがあります。

Photo © Yuki Saito

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 カルメネール(Carmenere、英語読みはカーメニア)というボルドー品種も、フランの子供ですが、寒いボルドーでうまく育たずに、現在ではほぼ絶滅状態。代わりといってはナンですが、その昔移民が苗を持って移住したチリで、うまく適応し、いまではチリの代表品種。ハラパニョ・ペッパーや土の香りがある、すこし癖のある赤ワインですが、チリのカベルネとブレンドした「ボルドーブレンド」は、素晴らしい出来映え。

 と書いたところで、水を差すようですが、カベルネ・フランは実はフランス原産ではなく、なんとスペインのバスク地方の品種だったそうです。これが分かったのは、 DNA鑑定のお陰。そういえば、カリフォルニアの地場ブドウだと信じていたジンファンデルも、最近の鑑定でクロアチアが原産だったと分かったのでした。もっともその前には、イタリアのプリミティーヴォがジンファンデルの親だと信じられていたのですけれど。

 ちなみに、ブドウの中でもっとも突然変異し易いといわれている「ピノ品種」。これもDNA鑑定の結果、ピノ・ノワール、ピノ・グリ(ピノ・グリージョ)、ピノ・ブラン、ピノ・ムニエ(シャンパンの品種)などは子孫ではなく、同じブドウがある日、突然変異をしたものだそうな。 黒ブドウのピノ・ノワールから白ブドウのピノ・グリージョができちゃった訳です。道理でピノ・グリージョは白ブドウなのに、皮の色も絞り汁も濃い訳だ、、、と納得。このピノ品種は、二千年前からあるそうで、同じく昔からある品種と自然交配してシャルドネやガメイ(ボージョレのブドウ)を始め、数多くの子孫を残しているのです。

 先ほどの夕食会で「じゃあ、ワインのブドウはヨーロッパ産でないと駄目なの?」という良い質問あり。実はアメリカでも建国時代から、地場ブドウを使って何とか良いワインを作ろうと苦労したのですが、臭いが強かったり雑味が多かったりと結局うまく行かず。世界の他の移民の国(オーストラリア、南ア、南米)と同じく、ヨーロッパ品種を輸入(或は密輸)して、ワイン作りに成功してきました。

 結局、アメリカ原産のコンコルドや、南アのピノタージュ(ピノ・ノワールとサンソーの交配種)、日本の甲州(DNA審判でヨーロッパ品種だったと判明)といった「凡庸な」ブドウは、世界的には名声を得ることが難しいようで…。

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斎藤ゆき (Yuki Saito)

斎藤ゆき (Yuki Saito)

ライタープロフィール

東京都出身。NYで金融キャリアを構築後、若くしてリタイア。生涯のパッションであるワインを追求し、日本人として希有の資格を数多く有するトッププロ。業界最高峰のMaster of Wine Programに所属し、AIWS (Wine & Spirits Education TrustのDiploma)及びCourt of Master Sommeliers認定ソムリエ資格を有する。カリフォルニアワインを日本に紹介する傍ら、欧米にてワイン審査員及びライターとして活躍。講演や試飲会を通して、日米のワイン教育にも携わっている。Wisteria Wineで無料講座と動画を配給

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