老年となった強面重鎮俳優にロバート・デ・ニーロ、アル・パチーノ、ジャック・ニコルソンらがいるが、この中で筆者が常々、抜群のコメディー・センスの持ち主と思っていたのがデ・ニーロで、そんな読みが当たったのが本作だ。
妻に先立たれ、一人暮らしのシニア、ベンは、毎日を充実させるべく、ネット通販会社にインターンとして入る。1年半で200人以上の従業員を抱える会社に成長させた若きオーナー社長ジュールス付きとなった彼は、人生経験の豊富さと昔気質な性格から、公私ともにジュールスの支えとなっていくのだった。
ハイテクに何とか付いていこうとする様や会社の若手との交流などで笑いを生んでいくベン。劇中、ジュールス対策として瞬きの練習を鏡に向かってするシーンは、扮するデ・ニーロの代表作「Taxi Driver」の有名なシーンのセルフ・パロにも取れて二重に笑えるだけでなく、自虐ギャグを許してしまう懐の深さもうかがえる。気難しそうなイメージのある彼だが、インタビューで受ける印象は、どちらかというとベンに近い感じ。本作は、自身の掟を持っているものの、柔軟で気さくな人柄のデ・ニーロらしさが楽しめる貴重な1本だ。加えて、ジュールス役のアン・ハサウェイとの相性もバッチリなのも見どころ。笑ってほっこりしたい人にはピッタリの、娯楽映画の王道を行く作品。
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