ソマリアのテロリストを亡き者にすべく、イギリス軍とアメリカ軍がタッグを組み、ドローンを使って作戦を遂行する。最初は順調に事が運んでいると思えたが、予期せぬ事態が起き、苦しい決断を迫られてしまう……。
戦場に赴くことなく、遠隔操作するドローンからの映像を元に分析し、必要ならドローンからミサイルを発射するという現代の戦争のやり方をリアルに描く本作。しかし、最も興味をそそられたのは、イギリス軍やアメリカ軍、そして、それぞれの国の政府関係者らの意見が取り交わされ、国民性や職業意識などの違いが露呈したドラマが展開することだった。特に本土が戦場となった経験のないアメリカ兵が持つ、軍人という職業に対する考えの甘さや現実感の欠如、そして、国民性とも言えるオーバーなリアクションの演出に感心したが、それもそのハズ、監督は徴兵経験のある南アフリカ出身のギャヴィン・フッド。戦争の現実と悲劇を知った彼ならではの細やかな描写にうなった。記者会見後に「アメリカ人は、軍隊に入る前に必ず広島を訪れるべきだ」と監督に話すと涙目で握手を求めてきた彼にとって、本作は念願の反戦映画と言えるのかもしれない。
ちなみに、本作は俳優アラン・リックマンの遺作。「実際の彼に一番近いキャラかもしれない」と共演のヘレン・ミレンが話していた。(3月11日より劇場公開)
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