今の時代の戦争をリアルに描く「Eye in the Sky」(3月11日から劇場公開)

文/はせがわいずみ(Text by Izumi Hasegawa)

 

© Bleecker Street

© Bleecker Street

 ソマリアのテロリストを亡き者にすべく、イギリス軍とアメリカ軍がタッグを組み、ドローンを使って作戦を遂行する。最初は順調に事が運んでいると思えたが、予期せぬ事態が起き、苦しい決断を迫られてしまう……。

 戦場に赴くことなく、遠隔操作するドローンからの映像を元に分析し、必要ならドローンからミサイルを発射するという現代の戦争のやり方をリアルに描く本作。しかし、最も興味をそそられたのは、イギリス軍やアメリカ軍、そして、それぞれの国の政府関係者らの意見が取り交わされ、国民性や職業意識などの違いが露呈したドラマが展開することだった。特に本土が戦場となった経験のないアメリカ兵が持つ、軍人という職業に対する考えの甘さや現実感の欠如、そして、国民性とも言えるオーバーなリアクションの演出に感心したが、それもそのハズ、監督は徴兵経験のある南アフリカ出身のギャヴィン・フッド。戦争の現実と悲劇を知った彼ならではの細やかな描写にうなった。記者会見後に「アメリカ人は、軍隊に入る前に必ず広島を訪れるべきだ」と監督に話すと涙目で握手を求めてきた彼にとって、本作は念願の反戦映画と言えるのかもしれない。

 ちなみに、本作は俳優アラン・リックマンの遺作。「実際の彼に一番近いキャラかもしれない」と共演のヘレン・ミレンが話していた。(3月11日より劇場公開)

この記事が気に入りましたか?

US FrontLineは毎日アメリカの最新情報を日本語でお届けします

はせがわいずみ (Izumi Hasegawa)

はせがわいずみ (Izumi Hasegawa)

ライタープロフィール

島根県松江市出身。映画ジャーナリスト・神主。NHKなどのアナウンサーを経て、映画・TV記者に。取材したセレブはのべ5000人以上。スターのインタビューや写真を全世界の媒体に配信する通信社Hollywood News Wire Inc. を経営 (一部をWhatsUpHollywood.comに掲載。動画インタビューはUTBでも放送中!!)。ハリウッドと日本の架け橋としてHollywood-PRを立ち上げ、PR・マーケティング、コンサルタントとしても活動中。
実家が神社(出世稲荷神社)なので神主の資格を持つ。島根県ふるさと親善大使「遣島使」。著書:TV『24』公式解説本『メイキング・オブ 24-TWENTY FOUR-』(竹書房)

この著者への感想・コメントはこちらから

Name / お名前*

Email*

Comment / 本文

この著者の最新の記事

関連記事

資格の学校TAC
アメリカの移民法・ビザ
アメリカから日本への帰国
アメリカのビジネス
アメリカの人材採用
Vrbo Japan
Universal Mobile

注目の記事

  1. あなたの食生活は大丈夫? 「体が資本」という言葉がある通り、日々の食事は体の土台を作るための大...
  2. ステンレス製のお皿にライスが隠れるようにルーを全体にかけ、その上にトンカツ、そして付け合わせにはキャ...
  3. この原稿を書いているのは2020年6月12日。昨日、ニナの義務教育が終了した。オンラインでの...
  4. アラスカ州とカナダの国境地帯に広がるのは、世界最大規模の自然保護区。北米大陸最高峰の山々に世...
  5. コロナ禍の3カ月の自粛生活は、私たちそれぞれに、自分の忙しい生活を今一度振り返る良い機会とな...
  6. ニューヨークを拠点に、さまざまなセミナー、フェスティバルやディナー会などのイベント、質の高い日本食を...
  7. 疲労の原因には、精神的ストレス、身体的ストレス、生活環境ストレス...
  8. 2020年6月6日

    第74回 世界は変わる
    新型コロナウィルス(COVID-19)の世界的大流行が起こってから、約2カ月が過ぎようとして...
ページ上部へ戻る