女子力全開だけど……「The Divergent Series: Allegiant」(3月18日から劇場公開)
文/はせがわいずみ(Text by Izumi Hasegawa)
- 2016年3月25日
- 2016年4月号掲載
近年流行の女子力全開の作品の一つ「The Divergent」シリーズの最新作「The Divergent Series: Allegiant」は、残念ながら展開がスローな割には人間ドラマが深く描かれておらず、退屈な映画となってしまっていた。原因は、ビジネスになるからと言って、1冊の原作本を2本の映画に分けたからだ。
大作原作本の映画化の場合、原作本自体が長編で、登場人物も多く、込み入った内容なら二つに分ける必要がある。「Happy Potter」が良い例だ。しかし、「The Hunger Games」でも証明されたように、ビジネス目的に二つに分けると良いことがない。「The Divergent」と「The Hunger Games」が同じ映画会社なのは偶然ではなく、「The Twilight」シリーズで味をしめた同社が、女子力を当てにして「The Hunger Games」と「The Divergent」を作ったのだが、両方とも後半になるにつれて、クオリティが尻すぼみになっているのが非常に残念だ。
そんな中、本作でのスマートなメタファーに感銘を受けた。前作でヒロイン、トリスは、独裁者ジャニーンを倒し、差別や区分けのない世界を築こうとするが、本作で彼女は、逆に区分けのキー的存在になっていく。そして、いつのまにかトリスはジャニーンと同じファッションに身を包む。このメタファーに感心したとプロデューサーに話すと、「気づかなかった」という返事。本作がイマイチな原因がここにもあった……。(3月18日から劇場公開)
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