キリスト教映画で二匹目のドジョウ狙う「Heaven Is for Real」(3月25日から劇場公開)
文/はせがわいずみ(Text by Izumi Hasegawa)
- 2016年3月31日
- 2016年4月号掲載
ソニーが配給した2014年の映画「Heaven Is for Real」は、臨死体験をした少年が天国でキリストに会って戻ってきたという実体験の書籍の映画化で、1500万ドルの製作費ながら国内だけで2900万ドルの興行収入をあげた。キリスト教団体のバックアップがいかにビジネスになるかを実感したソニーは、本作「Miracles from Heaven」で二匹目のドジョウを狙う。
神道と仏教の国、日本の子会社がキリスト教啓蒙となる作品を配給しているのが興味深いが、ビジネスにはシビアで、宗教がいかに商売になるかというのに目を付けたスマートさに拍手を贈りたい。
本作も実体験の書籍の映画化だが、奇妙な偶然に宗教の壁を越えて驚嘆してしまう。
敬虔なクリスチャンのビーム家の次女アナは、熱心な信者。しかし、そんな彼女が治療薬のない難病に冒される。「なぜ自分だけ。祈りが足りないのか?」という彼女の問いに両親は答えを見つけられない。持続的な痛みに耐えきれなくなったアナは、10歳ながら「死ねば痛みから解放されるから死にたい」と涙ながらに訴える。余命わずかと宣告された彼女が、木登りの際の事故で頭を強打。骨折はおろか、軽傷で済んだアナは、その後、打ち所が良かったために難病が治るというストーリー。
映画ではフィクションを交えてドラマティックな展開にしつつ、信心についても描く。母子愛を前面に出しているものの、「キリスト教団体からの資本だから仕方ないか……」という啓蒙シーンが鼻につく瞬間がいくつかあったのも否めない。
ちなみに、「なぜ自分だけ……」という問いに対する筆者の答えは、「ほかの人よりも強いからこそ、チャレンジを与えられている」だ。みなさんの考えは?(3月25日から劇場公開)
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