シリーズ世界へ! YOLO⑲クロアチア紀行
森とワインと国境と…

文&写真/佐藤美玲(Text and photos by Mirei Sato)

 

早朝のオシエックの街並 Photo © Mirei Sato

早朝のオシエックの街並
Photo © Mirei Sato

DAY 4

オシエック(Osijek)
  
コパチキリ(Kopacki Rit)

 早起きして、オシエックの街の庶民市場へ出かけた。どこの国、どこの街でも「朝市」をのぞくのは楽しい。

 旬のキャベツが山積みで、巨大なカボチャをのこぎりで切り売りしている店もあった。スラボニア料理に欠かせないパプリカや、ブタも丸ごと吊る下がっている。

 肉屋のショーケースには、ブタのすべての部位が並ぶ。噂に聞いていた「脳」もあった! オニオン、パプリカ、ガーリック、塩をもみこんで、揚げて食べるのが一般的。家庭料理で、正しい処理方法を知らないと美味しくはつくれないそうだ。アメリカでいうチトリン(ブタの腸)のようなものかと想像した。

 生花市場は、ちょうどキリスト教の祝日前で、書き入れどき。お墓に供える花を見つくろう人たちで混んでいた。
 写真を撮っていたら、人懐こいおじさんがモデルを申し出た。おまけに市場の立ち飲み屋で「1杯おごるよ」と誘ってくれたが、朝7時半。さすがにお断りした。

◆  ◆  

 オシエックは、イタリアからスロべニアまで流れるドラヴァ川と、ドイツから黒海まで流れるドナウ川に挟まれた位置にある。

 街の外に広がる「コパチキリ自然公園」は、川辺の豊かな生態系を保護している。ハクチョウやイーグル、ヘロン、イグレック、キングフィッシャーなど、鳥の宝庫だ。ボートで回ってバードウォッチングができる。運がよければ、クラムを食べに川べりにおりてくる野生のイノシシにも出会える。

 心なごむ風景だが、このあたりも、内戦時はセルビアに占領支配された。目をこらすと、川岸に「注意喚起」の看板がいくつもある。森には、地雷がいっぱい埋まっているのだ。内戦時に仕掛けられたが、川が洪水するせいで地面がゆるく、危険すぎて撤去作業ができず、そのままになっている、とのことだった。

◆  ◆  

 川に挟まれたミネラル豊富な丘陵地帯では、美味しいワインができる。
 夕刻、クロアチア最大のワイナリー「ベリエ」(Belje)を訪れた。1527年からある古いワインセラーを見学した。

 ちょうどグラシェビナの試飲イベントが行われていて、クロアチア各地からワインメーカーが集まっていた。女性ばかりで驚いた。アメリカではワイン業界はまだオトコ社会という印象が強いが、クロアチアには女性のワインメーカーがたくさんいるということだった。

 夕食は、また「酔ったコイ」のスープにした。川魚の盛り合わせも注文。ナマズやカワカマスのフライが出てきて、どれも美味しかった。
 


 

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