社会問題を扱ったコメディー「Barbershop: The Next Cut」

文/はせがわいずみ(Text by Izumi Hasegawa)

 

© 2016 METRO-GOLDWYN-MAYER PICTURES INC. AND WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.

© 2016 METRO-GOLDWYN-MAYER PICTURES INC. AND WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.

 正直に言おう。スラング英語力を試される本作で、筆者は完敗に近かった。理髪店内で交わされる登場人物たちの会話の応酬には全く付いていけず、特にセドリック・ジ・エンターテイナーのセリフはチンプンカンプンだった。ただ、試写後にアメリカ人の友人記者も「セドリックのセリフはさっぱり理解できなかった」とこぼしていたのが救いだったが……。

 本作は映画「Barbershop」シリーズの第4弾。各作品ともに、スラングの応酬に興味深いテーマを織り交ぜて物語が展開するが、本作では社会問題を取り上げているのが新しい。

 主人公カルヴィンが、ギャングに憧れを抱くようになった息子に「お前はラッキーだ。ギャングになるか、そうならないかという選択肢があるのだから」と諭すシーンがあるが、このセリフは同じような境遇の若者全員に伝えたいものだ。

 ちなみに、カルヴィンを演じるのはラッパーのアイス・キューブ。強面ゆえにワイルドな性格かと思いきや、伝記映画となった「Straight Outta Compton」でも描かれていたように真面目で聡明な人物だ。本作で夕食後の片付けを手伝うシーンの演技がとても自然だったが、記者会見での対応で、あれは地で、気が利く性格の持ち主だと分かった。会見中は、記者全員が公平に質問できるように仕切り、会見後は使ったグラスを自ら片付けたのだ。これまで多くのタレントに取材したが、使ったグラスを片付けるタレントは皆無に等しい。しつけの良さに感銘し、今更ながらファンになってしまった。(4月15日公開)

この記事が気に入りましたか?

US FrontLineは毎日アメリカの最新情報を日本語でお届けします

はせがわいずみ (Izumi Hasegawa)

はせがわいずみ (Izumi Hasegawa)

ライタープロフィール

島根県松江市出身。映画ジャーナリスト・神主。NHKなどのアナウンサーを経て、映画・TV記者に。取材したセレブはのべ5000人以上。スターのインタビューや写真を全世界の媒体に配信する通信社Hollywood News Wire Inc. を経営 (一部をWhatsUpHollywood.comに掲載。動画インタビューはUTBでも放送中!!)。ハリウッドと日本の架け橋としてHollywood-PRを立ち上げ、PR・マーケティング、コンサルタントとしても活動中。
実家が神社(出世稲荷神社)なので神主の資格を持つ。島根県ふるさと親善大使「遣島使」。著書:TV『24』公式解説本『メイキング・オブ 24-TWENTY FOUR-』(竹書房)

この著者への感想・コメントはこちらから

Name / お名前*

Email*

Comment / 本文

この著者の最新の記事

関連記事

注目の記事

  1. 食物は加工せず 添加物もなし  ここ数年、「新しくて古いダイエット法」と呼ばれ、注...
  2.  アメリカの現地校に通い、アメリカで暮らしていると、日本語を使う機会はお母さんと話す程度...
  3. 2009年のNational Center for Education Statistics...
  4.  ハイテクの現代。オフィスを持たず自由な時間に好きな喫茶店にブラッと入り、コンピューターとス...
  5.  スポーツの枠を超えて、アメリカの国民的イベントとしての地位を築いているスーパーボウル。NF...

デジタル版を読む

フロントライン最新号
ページ上部へ戻る