正直に言おう。スラング英語力を試される本作で、筆者は完敗に近かった。理髪店内で交わされる登場人物たちの会話の応酬には全く付いていけず、特にセドリック・ジ・エンターテイナーのセリフはチンプンカンプンだった。ただ、試写後にアメリカ人の友人記者も「セドリックのセリフはさっぱり理解できなかった」とこぼしていたのが救いだったが……。
本作は映画「Barbershop」シリーズの第4弾。各作品ともに、スラングの応酬に興味深いテーマを織り交ぜて物語が展開するが、本作では社会問題を取り上げているのが新しい。
主人公カルヴィンが、ギャングに憧れを抱くようになった息子に「お前はラッキーだ。ギャングになるか、そうならないかという選択肢があるのだから」と諭すシーンがあるが、このセリフは同じような境遇の若者全員に伝えたいものだ。
ちなみに、カルヴィンを演じるのはラッパーのアイス・キューブ。強面ゆえにワイルドな性格かと思いきや、伝記映画となった「Straight Outta Compton」でも描かれていたように真面目で聡明な人物だ。本作で夕食後の片付けを手伝うシーンの演技がとても自然だったが、記者会見での対応で、あれは地で、気が利く性格の持ち主だと分かった。会見中は、記者全員が公平に質問できるように仕切り、会見後は使ったグラスを自ら片付けたのだ。これまで多くのタレントに取材したが、使ったグラスを片付けるタレントは皆無に等しい。しつけの良さに感銘し、今更ながらファンになってしまった。(4月15日公開)
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