1996年のエベレスト大量遭難を題材にした本作は、自然の厳しさと人情による判断ミスが引き起こした悲劇を描いたドラマ。雄大なエベレストの頂を美しい映像で切り取っているので、IMAX 3Dで堪能してほしい。
商業登山隊のガイド、ロブ・ホールは、医者やアウトドア誌の記者、日本人登山家・難波康子ら9人の顧客を引率してエベレスト登頂を目指す。変わりやすい山の天候を考慮して、頂上の踏破にタイムリミットを設けていたにも関わらず、それぞれの希望を尊重するあまりホールはルールを破ってしまい……。
ハイキングは大好きだが、寒さと上り坂が苦手で、できれば避けたいと思っている筆者にとって、心身を酷使し、凍傷の危険と隣り合わせになりながら上り坂がメインの登山を、大金をはたいてまでしたいという考えが理解できない……と思って試写に行った。本作では、世界最高峰に魅せられた人々の横顔を紹介していくのだが、「なぜそこまでして?」という筆者の疑問に対する答えはほとんどなく、自然が相手だと人間はいかに脆くはかない存在かというのを実感させられただけだった。
嬉しかったのは、難波のキャラクターの存在感。ハリウッド映画にありがちな「事実とマッチするために、とりあえず入れておけ」的なものから少し前進し、ムードメイカーのような役割を担わせたキャラとして描いていたからだ。ただ、難波役を好演した森尚子のクレジットがかなり後の方に配置されていたのが残念だった。
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