ガラパゴスの旅〜前編

文/矢田侑三(Text by Yuzo Yada)
写真/カズ高橋(Photos by Kaz Takahashi)

エクアドルの首都キトから飛行機で4時間。南米大陸から1千キロ離れたガラパゴス諸島。太古から独自の進化をとげ、他では見られない珍しい生き物が生息している。子供の頃から、一度は訪れたいという長年の夢がようやく実現した。

 

岩の上で羽を休めるブラウン・ペンギン Photo © Kaz Takahashi

岩の上で羽を休めるブラウン・ペンギン
Photo © Kaz Takahashi

1日目

  • キト

  • バルトラ島

  • サンタクルス島

 飛行機がバルトラ空港に着陸する約30分前に、突然スチュワーデス3人が通路を歩き出した。何をするのかと思うと1人が頭上の荷物入れの扉を開ける。そして2人目がスプレーで荷物入れに何かを撒いていく。3人目が撒き終わった荷物入れの扉を閉めていく。手際よい作業だ。聞いてみると、撒いているのは殺虫剤。本土からの蚊や蠅などの虫が飛行機を通じてガラパゴス諸島に入り込まないようにするためだという。ユニークな生態系を保つための努力に感心する。

 窓から茶色の島々が点々と見える。空港に到着。ここでも厳格な荷物検査を受けた。長年の夢の実現はネイチャー・カメラマンであるカズ高橋氏のお陰である。彼がガラパゴスの特異な動物たちの写真集を作りたいということを聞いて、ぜひ助手兼旅行記の執筆担当として同行させてくれとお願いしたのである。

 クルーズ船「コーラル1」で7泊8日の島巡りをする。真っ白な船は約30人乗り。甲板でウェルカムドリンクで喉を冷やしながら、旅の説明を受けた。船の上を数羽の軍艦鳥が飛びかい出迎えてくれる。喉が赤いのが雄、白いのが雌、頭が白いのが未成年だ。船室はベッドが2台とシャワーとトイレ付きのバスルーム。狭いが清潔で居心地がよさそうだ。

30人乗りのコーラルⅠ号 Photo © Kaz Takahashi

30人乗りのコーラルⅠ号
Photo © Kaz Takahashi

 早速、サンタクルス島の沖に浮かぶEden Isletに向かう。海は真っ青。風が心地よい。ゴムボート「ディンギー」に乗り換える。波が高いとディンギーの乗り降りは少し難しい。

 断崖にしがみつくように鳥が止まっている。足とクチバシが青いカツオ鳥だ。ガラパゴスには3種類のカツオ鳥が生息する。一番の人気者はこの青足カツオ鳥。足の水かきがきれいな水色でクチバシも少し青みがかっている。

 岩礁には海イグアナが群れていた。海水に濡れて真っ黒。あまりの数に少し不気味だ。断崖に沿ってシュノーケルをする。ディンギーから飛び込むと水が冷たく気持ちがよい。色とりどりの小さい魚がたくさん泳いでいる。魚を追っているとアシカが1頭、目の前を横切ったのには驚かされた。最初のシュノーケルなので30分余で終える。

 ディンギーの上では乗客がお互いに見つけた魚の話で盛り上がった。みんな初めてのガラパゴスの海なので気分が高揚している。

 久し振りのシュノーケルで体を動かしたので夕食がおいしい。明日はどんな風景と動物が待ち構えているのか、わくわくして最初の夜を過ごした。

アオアシ・カツオドリ Photo © Kaz Takahashi

アオアシ・カツオドリ
Photo © Kaz Takahashi

1

2 3 4

この記事が気に入りましたか?

US FrontLineは毎日アメリカの最新情報を日本語でお届けします

関連記事

アメリカの移民法・ビザ
アメリカから日本への帰国
アメリカのビジネス
アメリカの人材採用

注目の記事

  1. ニューヨークの古い教会 根を詰めて仕事をし、極度に集中した緊張の日々が続くと、息が詰まって爆...
  2. ダイナミックに流れ落ちるヴァージニア滝の落差は、ナイアガラの滝の2倍 カナダの北西部、ノース...
  3. アメリカでは事故に遭い怪我をした場合、弁護士に依頼することが一般的です。しかし日本にはそう...
  4. グッゲンハイム美術館 Solomon R. Guggenheim MuseumNew York ...
  5. 2023年2月14日

    愛するアメリカ
    サンフランシスコの町並み 一年中温暖なカリフォルニアだが、冬は雨が降る。以前は1年間でたった...
  6. キルトを縫い合わせたような美しい田園風景が広がるグラン・プレ カナダの東部ノヴァスコシア州に...
  7. 本稿は、特に日系企業で1年を通して米国に滞在する駐在員が連邦税務申告書「Form 1040...
  8. 九州より広いウッド・バッファロー国立公園には、森と湿地がどこまでも続いている ©Parc nati...
ページ上部へ戻る