
© Amazon Studios / Magnolia Pictures
韓国の巨匠監督パク・チャヌクの新作は「映画の大半が日本語のセリフだよ」と韓国人の記者仲間から知らされ、興味を引かれた。
舞台は、日本統治時代の朝鮮。華族の娘、ひでこは亡き母親の姉(または妹)の夫が仕切る屋敷に軟禁状態で暮らしていた。そんなひでこの財産を狙って、韓国人の詐欺師が藤原伯爵と偽って屋敷に出入りするようになる。その詐欺師の差し金で、韓国人のスッキがひでこの侍女になり、3人はそれぞれの思惑を秘めて行動を起こす。しかし、ひでことスッキの間に深い絆が芽生えるとは誰も想像していなかった。
原作は、イギリスの小説「Fingersmith」で、本国でTVドラマ化され、日本でも「荊の城」というタイトルで放送された。監督いわく、「当初は原作に忠実にヴィクトリア朝のロンドンを舞台に英語の作品を予定していたが、プロデューサーの提案を受け入れて韓国を舞台にすることにした。そうすることで、ヒロイン2人の階級の違いだけでなく、出身国の違い、そして、あの時代のお互いの国に対する敵対意識も交えて、物語に深みを与えることができた。占領する側と占領される側の間に芽生えた愛が違いや困難を乗り越えていく様が、観客にさらなる感動を与えるのを可能にするからね」と話す。さすが、カンヌをはじめ各映画祭で賞を贈られた監督だ。インタビューでもそこかしこにシャープな頭脳の持ち主というのが滲み出ていた。ただ、各国でR18指定を受けるほどHシーンをどぎつく、しつこく描写する意図を筆者はくみ取れなかった。
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