「アカデミー賞もの!」と言って、主役キアヌ・リーブスの演技を絶賛するのは監督のイーライ・ロス。確かにリーブスは、若い女性に誘惑される夫エヴァンを体当たりで演じた。しかし、いつものようにセリフは棒読みで演技もパッとしない。ただ、スクリーン上での存在感は健在だ。初の父親役もかなり不自然で、子供と戯れるシーンは「無理矢理」感が滲み出ていた。そんな彼との初仕事でロスはまた、「キアヌが一線で活躍し続ける理由が分かった」と話していたが、筆者も今回のインタビューで、リーブスがハリウッドで生き残っている理由を確信した。彼は普段のトークも棒読みなのだ。本作の記者会見では、これまでになく数センテンスに渡って自分の考えを話したリーブス。その語り口は、自分の意見にも関わらず棒読みに聞こえるのだ。そう、スクリーンで見せる彼の棒読みは、実は究極の自然な演技だったのだ!!
本作で注目したいのは、50過ぎても変わらない彼のイケ面ぶりではない。エヴァンを誘惑し、頬を叩き、ザルを頭にかぶせて散髪までしてしまう女子ベルに扮したアナ・デ・アルマスの演技だ。大物スター、リーブスを相手に臆するどころか、やりたい放題で自由な動きをとことん見せつける。演技がこじんまりとしてしまう日本人若手女優たちよ、彼女の演技を見倣ってほしい。
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