キアヌにオスカーを?!「Knock Knock」

文/はせがわいずみ(Text by Izumi Hasegawa)

© Lionsgate Premiere

© Lionsgate Premiere

 
 「アカデミー賞もの!」と言って、主役キアヌ・リーブスの演技を絶賛するのは監督のイーライ・ロス。確かにリーブスは、若い女性に誘惑される夫エヴァンを体当たりで演じた。しかし、いつものようにセリフは棒読みで演技もパッとしない。ただ、スクリーン上での存在感は健在だ。初の父親役もかなり不自然で、子供と戯れるシーンは「無理矢理」感が滲み出ていた。そんな彼との初仕事でロスはまた、「キアヌが一線で活躍し続ける理由が分かった」と話していたが、筆者も今回のインタビューで、リーブスがハリウッドで生き残っている理由を確信した。彼は普段のトークも棒読みなのだ。本作の記者会見では、これまでになく数センテンスに渡って自分の考えを話したリーブス。その語り口は、自分の意見にも関わらず棒読みに聞こえるのだ。そう、スクリーンで見せる彼の棒読みは、実は究極の自然な演技だったのだ!!

 本作で注目したいのは、50過ぎても変わらない彼のイケ面ぶりではない。エヴァンを誘惑し、頬を叩き、ザルを頭にかぶせて散髪までしてしまう女子ベルに扮したアナ・デ・アルマスの演技だ。大物スター、リーブスを相手に臆するどころか、やりたい放題で自由な動きをとことん見せつける。演技がこじんまりとしてしまう日本人若手女優たちよ、彼女の演技を見倣ってほしい。

この記事が気に入りましたか?

US FrontLineは毎日アメリカの最新情報を日本語でお届けします

はせがわいずみ (Izumi Hasegawa)

はせがわいずみ (Izumi Hasegawa)

ライタープロフィール

島根県松江市出身。映画ジャーナリスト・神主。NHKなどのアナウンサーを経て、映画・TV記者に。取材したセレブはのべ5000人以上。スターのインタビューや写真を全世界の媒体に配信する通信社Hollywood News Wire Inc. を経営 (一部をWhatsUpHollywood.comに掲載。動画インタビューはUTBでも放送中!!)。ハリウッドと日本の架け橋としてHollywood-PRを立ち上げ、PR・マーケティング、コンサルタントとしても活動中。
実家が神社(出世稲荷神社)なので神主の資格を持つ。島根県ふるさと親善大使「遣島使」。著書:TV『24』公式解説本『メイキング・オブ 24-TWENTY FOUR-』(竹書房)

この著者への感想・コメントはこちらから

Name / お名前*

Email*

Comment / 本文

この著者の最新の記事

関連記事

アメリカの移民法・ビザ
アメリカから日本への帰国
アメリカのビジネス
アメリカの人材採用

注目の記事

  1. 今年、UCを卒業するニナは大学で上級の日本語クラスを取っていた。どんな授業内容か、課題には...
  2. ニューヨーク風景 アメリカにある程度、あるいは長年住んでいる人なら分かると思うが、外国である...
  3. 広大な「バッファロー狩りの断崖」。かつて壮絶な狩猟が行われていたことが想像できないほど、 現在は穏...
  4. ©Kevin Baird/Flickr LOHASの聖地 Boulder, Colorad...
  5. アメリカ在住者で子どもがいる方なら「イマージョンプログラム」という言葉を聞いたことがあるか...
  6. 2024年2月9日

    劣化する命、育つ命
    フローレンス 誰もが年を取る。アンチエイジングに積極的に取り組まれている方はそれなりの成果が...
  7. 長さ8キロ、幅1キロの面積を持つミグアシャ国立公園は、脊椎動物の化石が埋まった岩層を保護するために...
  8. 本稿は、特に日系企業で1年を通して米国に滞在する駐在員が連邦税務申告書「Form 1040...
ページ上部へ戻る