第22回 「ちょっと足を伸ばせば」

文&写真/小野アムスデン道子(Text and photos by Michiko Ono Amsden)

遠くから見ても近づいてもそれぞれに美しい眺めのマルトノマ滝Photo © Michiko Ono Amsden

遠くから見ても近づいてもそれぞれに美しい眺めのマルトノマ滝
Photo © Michiko Ono Amsden

頂上から滝壺まで歩いていける
オレゴン一の高さマルトノマ滝

 サスティナブルで、グリーンで、そして何よりちょっと変わったアイデンティティが魅力のわが街ポートランドについて連載をしてきたが、ちょっと郊外に足を伸ばせばオレゴンらしい自然の魅力に触れられる。

 ポートランドの街中を流れるウィラメット川の本流であるコロンビア川。この川は、カナダのブリティシュコロンビア州にあるカナディアンロッキーから始まって、ワシントン州、オレゴン州と流れてコロンビア渓谷の美しい景観を作っている。ポートランドではウィラメット川を支流に持って、最後はアストリアから太平洋に流れ出る。豊かな水量を誇る母なる川的な存在だ。ポートランドからの「コロンビア川歴史旧街道The Historic Columbia River Highway」は、渓谷の美しい景観を眺めながらのドライブが気持ちのよいルートで、友人がポートランドに来たらよく出かける。絶景のビューポイントに美しい滝が何十もあるが、中でも代表なのが189mとオレゴン州で一番の高さを誇る「マルトノマ滝Multnomah Falls」。滝の頂上から中ほどにかかる橋、そしてトレイルを歩けば滝壺まで行くこともできる。それぞれの高さで異なる眺めはそれぞれに美しく、自然に囲まれたトレイルだが犬連れも歩けるという親しみやすさもある。ポートランドから車で1時間もかからないので、友人を連れてドライブと言えばまずここ。

オレゴン・コーストのキャノンビーチにて/Karina Amsden撮影

オレゴン・コーストのキャノンビーチにて/Karina Amsden撮影

一度は行って見てほしい
オレゴン・コーストの幻想的な眺め

 コロンビア川の太平洋側の端にあるアストリアの街は、80年代の少年冒険映画として今でも人気を誇る『グーニーズ』のロケ地で、映画に登場する刑務所は「オレゴン・フィルム・ミュージアムOregon Film Museum」になっていて、なかなか郷愁をそそる展示がされている。コロンビア川沿いにノスタルジックなトロリーが走り、とてもチャーミングな街には、コロンビア川海事博物館もあってオレゴン・コーストに行きたい時にはよく立ち寄る。しかし、他にない魅力は、オレゴン・コーストの景観自体。夏でもローカルの子供でないとちょっと泳げない冷たい海なのだが、白波が遠くから打ち寄せて来る景色は、時々この世のものではないほどの幻想的な表情を見せることがある。いろいろな海を見て来ているが、このオレゴン・コーストの海は、時々無性に見に行きたくなることがあるほどの独特な美しさだ。

 ポートランドからちょっと足を伸ばして、独特の自然を楽しめる場所をご紹介したが、今回で“愛すべき変わりモノ”の連載を興味深いネタ探しにちょっと休載。次回から“お休みにアメリカでアウトドアならどこに行く?”という新連載をお届けする。自然に溢れ、バラエティに富むアメリカのアウトドアの魅力をお伝えして行ければと思う。

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小野アムスデン道子 (Michiko Ono Amsden)

小野アムスデン道子 (Michiko Ono Amsden)

ライタープロフィール

世界有数のトラベルガイドブック「ロンリープラネット日本語版」の編集を経て、フリーランスへ。東京とポートランドを行き来しつつ、世界あちこちにも飛ぶ。旅の楽しみ方を中心に食・文化・アートなどについて執筆、編集、翻訳多数。日本旅行作家協会会員。

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