Q&A
怒りの感情について

質問:感情のコントロールについてご相談します。私は自分のプライドを傷つけられると、怒りの感情を抑えることができず、暴言を吐いてしまいます。それによって、数々の人間関係を壊してきました。後悔先に立たずで、感情さえ抑えることができれば、どれだけいいだろうといつも反省してしまいます。今後、このようなことを繰り返さないためにできることはありますか? また、私のような人がカウンセリングを受けることによって改善は見られますか?

回答:日本で育った人の多くは、感情を抑えるような教えを受けています。感情を内面に押し込める、欲求を我慢するようにしつけられています。しかし、余裕がなくなってくると、感情を理性でコントロールすることが難しくなります。理性をブレーキにたとえると分かりやすいかもしれません。感情を抑えられなくなって暴言を吐く人は、いわばブレーキが壊れてしまった自動車のようなものです。

もし、自分で感情がコントロールできなくなる時に、その兆候が分かれば、対処することも可能です。胸の動悸が激しくなる、頭に血が上るという体の変化が分かれば、その場で話すのをやめてもいいのです。また、人は姿勢を変えたり、体を動かしたりすることで、気分を少しだけ変えることができます。しかし、自分で身体的なサインに気づくのは容易ではありません。

気持ちを安定させる
システム作り

私がこのような方をカウンセリングする場合は、共感を大切にします。できるだけ、そのクライアントさんに寄り添い、お話をじっくりと伺い、裁いたり、肯定したりはしません。共感が重要です。頻繁に理性を抑えられなくなる人は、気持ちを安定させるシステムがうまく整っていない可能性があります。時々見受けられるのが、子どもの頃に、親や先生から抑え付けられたり、攻撃されたりしたことで、大人になっても気持ちを安定させるシステムがうまく機能していない方です。感情を安定させるための心の土台が安定していないので、その上に成り立つ理性や判断をうまく使えないのです。また、私は感情をコントロールする、という言い方ではなく、感情をマネージする、という表現を好んで使います。コントロールはどうしても抑えつけるというイメージが強いのですが、マネージは健康的に管理することですね。

最後に、ご相談者の周囲にいる方々へのアドバイスをお話しします。一番辛いのは感情を爆発させるご本人ですが、感情の抑制が効かなくなる上司や同僚と一緒に働いたり、また、そのような人を家族に持ったりする人も非常に辛いと思います。
相手が暴言を吐き始めた時に、その場を離れることができなければ、しばらく言わせておくしかありません。理想的なケースは、言いながら本人が次第に冷静さを取り戻してくれることです。それが終わりそうにない時は、話をさえぎって「あとで改めて話しませんか?」と提案してみましょう。

このような方を説得してカウンセリングに引っ張ってくるのは、非常に難しいです。カウンセリングというのはあくまで一つの選択肢です。本人が強制されていると感じたら抵抗します。周囲の方が「あなたがとても辛いようなので心配している。カウンセリングは助けになるかもしれない」と優しく勧めてみてください。

感情は、肯定的、否定的にかかわらず、人と人を結びつけるために不可欠です。ネガティブな感情が沸いてきた時、健康的に解消できなければ、その人は心地よく過ごせません。人間関係を円滑に進めることは誰にとってもチャレンジングです。少しでも自分自身が楽に、まわりも幸せにできるよう、まずは気持ちを安定させるシステム作りから始めてみてはいかがでしょうか。

出蔵みどり
カリフォルニア州Marriage & Family Therapist
MFC#46171
714-351-1151
www.japanesecounselorla.com

この記事が気に入りましたか?

US FrontLineは毎日アメリカの最新情報を日本語でお届けします

この著者の最新の記事

関連記事

アメリカの移民法・ビザ
アメリカから日本への帰国
アメリカのビジネス
アメリカの人材採用

注目の記事

  1. 九州より広いウッド・バッファロー国立公園には、森と湿地がどこまでも続いている ©Parc nati...
  2. 2022年12月9日

    住みたい国
    熊本県八代市の「くまモンポート八代」で 8月の終わりから9月中頃にかけて、私とニナは日本に飛...
  3. 2022年12月7日

    日常の些事
    冬の落ち葉 年齢を重ねると、だんだんと感動が薄くなるとはよくいわれる。ほとんどのことは過去に...
  4. 2022年12月6日

    美酒と器
    酒器の種類 酒器にはさまざまな素材、形のものが存在する。適切な器を選ばないとお酒本来...
  5. 契約上のトラブル 広範囲にわたる法律問題を扱う弊社にはさまざまなお問い合わせがありま...
  6. この号が出る頃、私とニナは日本での3週間の滞在を終えてアメリカに戻っているはずだ。ニナにと...
  7. 2022年10月7日

    森英恵の反骨精神
    裏庭の蝶 ファッションが好きな女性はたくさんいるだろう。私もその一人だ。休日の気晴らしは以前...
  8. およそ2000人の作業員により、6年間で建設されたリドー運河 カナダの首都オタワと、5大湖の...
ページ上部へ戻る