海外教育Navi 第10回
〜受験のための一時帰国〜〈後編〉

記事提供:『月刊 海外子女教育』(公益財団法人 海外子女教育振興財団)

海外勤務にともなう子育てや日本語教育には、親も子どもも苦労することが多いのが現状。そんな駐在員のご家族のために、赴任時・海外勤務中・帰任時によく聞くお悩みを、海外子女教育振興財団に所属するプロの相談員たちが一つひとつ解決すべくアドバイスをお届けします。

Q.受験のために一時帰国します。宿泊先を含め、帰国時や滞在中の留意点を教えてください。

前回のコラムでは、帰国受験に向けての準備・計画や、一時帰国中の生活の注意点などを紹介しました(前回記事へ)。今回はその続きをお話しします。

生活上の心得

環境に慣れるために一週間ぐらい前に帰国して準備するか、ペースを守るために直前に帰るか、判断の分かれるところでしょう。いずれにしても1〜3月はインフルエンザの季節ですので、なるべく人混みには出ないようにし、外に出るときは寒くないようマフラーや手袋をしたうえで、戻ったらかならず手洗いやうがいをしてください。

マスクは冬に乾燥する地域でも湿度を保つので感染しにくくなります。感染症になると受験ができないことがあるので要注意です。

とにかくできるだけふだん通りに生活するよう心がけたいものです。真新しい靴や服を着用して行くのはかえって靴擦れ等のトラブルのもとになることがあります。

制服でなくても、きちんとした身なりであれば面接でも問題ありません。ただ、会場の空調によって寒かったり暑かったりします。人によって感じ方が違うので、簡単に脱いだり着たりできるようなものを用意しましょう。

食事は、特別ぜいたくなものや、ゲンかつぎでカツ丼とかを食べるのではなくて、消化によい食べ慣れた物にしましょう。

時差ぼけには対策が必要ですが、経験者によると「とにかく寝た」「昼は絶対寝ないようにした」「早目に帰国する」「朝早く目覚めたが、時間をつぶして待った」など対応がそれぞれ違います。自分なりの対応を考えて試験日に備えましょう。

受験直前・当日の留意点

海外生の視点で受験直前と当日の留意点をいくつか挙げてみます。

現地校などでは試験の場合でもボールペンを使っている例がありますが、日本の学校では原則的に鉛筆(またはシャープペンシル)を使い、間違ったところは消しゴムで消すことになっています。慣れない人は少し練習も必要です。

当日に何を持っていくのか、頭の中で想定するだけでなくチェック用のメモをつくって確認してください。

また、複数の学校を受験する場合は、受験票などを取り違えないためにも学校ごとに袋をつくり、受験票・注意事項・地図・電車の乗り換えなどをまとめておくことをお勧めします。

試験会場の時計が見えにくいこともあります。持ち込みが許されている場合は腕時計があるとよいでしょう。

面接試験では海外の体験などを聞かれることが多いようです。模範回答をつくって暗記するより、小さな「思い出アルバム」をつくって宿舎で見直すようにしたらどうでしょうか。心が落ち着いて、思い出を語るときに実感が湧きます。

学力試験では、誰もが緊張のために自分の力を十分発揮できないものです。周りの人が自分より段違いに優秀ということはありません。わからない問題が出たら「周りの人も困っているだろうな」と思うくらいの余裕を持つことが大切です。

寝坊をしたり電車を間違えたりして時間に間に合いそうもないときや、受験票を忘れたりなどしたときは焦らず、まずは学校に連絡を入れて指示を仰ぐようにしましょう。

最後に

保護者のかたは順調にいくことを信じ、お子さんを励まされていると思います。

もしも不首尾に終わってしまった場合、受験競争的な経験の少ないお子さんは周りが思っている以上にショックを受けていることがあります。そこで、希望通りいかなかったときに慌てないよう、口には出さずとも次善の道を考えておいてください。見かけの偏差値に惑わされずに見直せば、お子さまに合ったよい学校はほかにもいくつかかならずあります。

新しい学校で楽しく充実した学校生活が送れますよう、応援しています。

今回の相談員
教育相談員
中山 順一

帰国子女の受け入れを目的に創立された国際基督教大学高等学校で創立2年目から38年間勤務。6000人以上の帰国生徒とかかわった。2008年より教頭。教務一般以外に入試業務(書類審査を含む)も担当した。2017年より海外子女教育振興財団で教育相談員を務める。
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公益財団法人 海外子女教育振興財団 (Japan Overseas Educational Services)

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ライタープロフィール

昭和46年(1971)1月、外務省・文部省(現・文部科学省)共管の財団法人として、海外子女教育振興財団(JOES)が設立。日本の経済活動の国際化にともない重要な課題となっている、日本人駐在員が帯同する子どもたちの教育サポートへの取り組みを始める。平成23年(2011)4月には内閣府の認定を受け、公益財団法人へと移行。新たな一歩を踏み出した。現在、海外に在住している義務教育年齢の子どもたちは約8万4000人。JOESは、海外進出企業・団体・帰国子女受入校の互助組織、すなわち良きパートナーとして、持てる機能を十分に発揮し、その使命を果たしてきた。

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