【ニューヨーク不動産最前線】
ホリデーチップについて

ホリデーシーズンに
ビルスタッフにチップを渡す

いよいよホリデーシーズンが始まりました。来週はサンクスギビングですが、サンクスギビングが終わると、一斉にクリスマスを目指してカードが届き始めると同時に、ホリデーギフトのシーズンとなります。

マンハッタンのクリスマスといえば、住んでいるビルのスタッフにチップを渡すのが習慣になっています。

余談ですが、ニューヨークでは決してクリスマスと限定してはいけません。クリスマスカード、クリスマスギフト、クリスマスチップという代わりにホリデーカード、ホリデーギフト、ホリデーチップと言います。

日本人にはクリスマスという語彙はなじみがあり、ついついクリスマスと言ってしまいますが、カードにもHAPPY HOLIDAYというふうに書いてあるものが主流です。色んな人種が集まっているニューヨークでは、相手の宗教や信仰が分からないので、ハッピーホリデーとしておくのが無難なのです。

居住用のビルはコンドミニアム、コープ、レンタルビルを問わず、たくさんのスタッフが働いているので、チップだけでも大変です。毎日顔を合わせるコンシェルジュやドアマンはもとより、ポーター、ハンディマン等、普段は表に出て来ない人もたくさんいます。誰にいくら渡すのか悩むところで、実は私もお客様からよくチップの相談を受けます。

でも、心配ご無用。サンクスギビングが終わるや否や、どこのビルでもスタッフの名前とタイトルが書かれた名簿が各部屋に配られます。ビルによってはそれぞれの顔写真までついている場合もあります。

部屋の入り口のドアに挟んであったり、または共用のメールルームに束になって置いてあったりします。名簿を見ると、自分のビルで何人のスタッフが働いているか一目瞭然です。ビルの規模によってはスタッフだけで40人以上となるところもあります。

誰にいくら渡すべき?

律儀に全員にチップを渡していると大変なので、その場合は普段顔を合わせるコンシェルジュやドアマンだけでいいかもしれません。ただし、スーパー(スーパーインテンダント:ビルの管理人)だけは外せません。普段顔を合わせたり口をきいたりすることはありませんが、ビルの責任者なので、この機会に顔つなぎをしておくと、普段いざというときに助かることもあるかも(?)。

チップなので強制ではなく、もちろん金額も決まっていませんが、額はスーパーを筆頭に、コンシェルジュ、ドアマン、ハンディマン、ポーターと少しずつ減っていくのが一般的です。普段どれだけお世話になっているのかとか、ビルのクオリティにもよるので一概には言えませんが、ビルのスタッフへのチップだけで数百ドルが入用となります。

最近はみんながオンラインで買い物をして、毎日膨大な量の箱が運ばれてきます。コンシェルジュデスクが箱で埋まっているのもよく見ます。私もほぼすべての買い物をオンラインでやっているので、それを見ると心が痛みます。

大量のデリバリーの処理に追われて、本来のコンシェルジュの業務ができないと嘆いているスタッフもいました。あの量を見ると、確かにそのとおりだと思います。毎日お手伝いしてくれてありがとうという気持ちで、せめてホリデーシーズンくらい気持ちよくチップを渡したいものですね。ちなみに、日本のお年玉のポチ袋のような気の利いた入れ物がないので、ホリデーカードにキャッシュかチェックを挟んで渡すのが一般的です。

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柏原知子 (Tomoko Kashihara)

柏原知子 (Tomoko Kashihara)

ライタープロフィール

大阪女子大学(現:大阪府立大学)卒業後、CBRE Japanに入社。東京で外資系企業のオフィス移転を担当する商業不動産ブローカーとして働いた後、ニューヨーク勤務を機に住宅ブローカーに転向。1999年より住友不動産販売NYで活躍した後、2021年に米系大手Compassに移籍。趣味は旅行、クルーズ、トレッキングとイタリア語。

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