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海外教育Navi 第36回
〜アメリカの現地校でいじめに遭ってしまったら〜〈後編〉
記事提供:月刊『海外子女教育』(公益財団法人 海外子女教育振興財団)
- 2019年9月15日
海外勤務にともなう子育てや日本語教育には、親も子どもも苦労することが多いのが現状。そんな駐在員のご家族のために、赴任時・海外勤務中・帰任時によく聞くお悩みを、海外子女教育振興財団の教育相談員等が、一つひとつ解決すべくアドバイスをお届けします。
Q.子どもはアメリカの現地校に通っていますが、イジメに遭っているようです。どうしたらいいのでしょうか。
前回のコラムでは、なぜいじめが起きるのかの原因を説明しました(前回記事へ)。今回はその続きをお話しします。
イジメられたときはどうすればいいの?
アメリカの学校では、校内で起こった子どもの問題は学校側が対処しますが、校門を一歩出て外で起こった問題についてはいっさい関知しませんので、保護者が対応することになります。
学校内でイジメに遭ったときは、まず小学校であれば担任、中学校や高校であればスクールカウンセラーに保護者が相談しましょう。担任やスクールカウンセラーで対処できない場合は校長へ。それでもよい方向へ向かわないときは、School District (教育委員会)に実情を話します。当人同士で話し合わないことが大事です。
またロサンゼルスに設立されている公益法人JERC日米教育サポートセンターでも教育相談を受けています。教育アドバイザーがさまざまな問題に対応していますので、電話なりメールなりをいただければ解決へのお手伝いをします。
日本人の保護者は “ことを荒立てたくない” と考える人が多く、ほとんどが強い抗議をしません。子どもを守るために、保護者はもちろんのこと関係者の毅然たる態度が望まれます。
親が子どもに教えておくべきこと!
子どもは自分がイジメに遭っていても、教師や親に訴えないケースがよくあります。子どもには日ごろから学校内外でトラブルが起こったときは、まず親に報告をするように話しておきましょう。
以前、イジメに遭っているのに仕返しを恐れて、親に何も言わなかった生徒がいました。しかしそれはかえって問題を大きくし、学校を巻き込み保護者間のトラブルにまで発展したのです。日ごろから親子間のコミュニケーションをよくしておき、何でも話せる関係を築いておくことが望まれます。
現代におけるイジメはネットによる “ことばの暴力” が主流のようです。インターネットを利用して行うイジメ、中学生でも大人顔負けの行動をするのには驚かされます。
このような状況ではNOはNOとはっきり相手に伝えることが重要で、黙っているとイジメがますますエスカレートする可能性があります。この点を子どもに伝え、携帯電話等の管理を子どもに任せない等の措置が必要ではないでしょうか。
イジメ問題では、イジメられる側の子どものケアについて語られることが多いのですが、イジメる側の子どもへの教育も重要で、それは親はもちろんのこと大人の責任であると考えます。悪い芽を早く摘み取ることで “イジメっ子” から脱出させましょう。
彼らが他人をイジメる行動を取るのは、自分に注目してほしいというサインです。
親は子どもを愛すること!
「親に愛されて育った子どもは人をイジメない」といわれています。親の責任は重大です。親の無償の愛が “イジメっ子” を生まない、ひいてはイジメられて苦しむ子どもを生まないことにつながります。
すべての親が我が子の成長が生きがいだと感じられれば、他人をイジメるという醜い行為を行う子どもはこの世の中からいなくなるでしょう!! それを願っています。
米国での教育相談窓口
公益法人 JERC 日米教育サポートセンター教育相談室
TEL:1-310-373-4888
※受付時間:月〜金曜日10時〜16時(Pacific Time)
Eメール:office@jerc.org
教育相談窓口
公益財団法人 海外子女教育振興財団事業部教育相談事業チーム
TEL:+81-3-4330-1352
※受付時間:月〜金曜日9時30分〜17時(日本時間)
Eメール:sodanjigyo@joes.or.jp
JERC日米教育サポートセンター代表兼教育アドバイザー
岩永 留美
1987年に夫のアメリカ赴任に伴い、当時小学5年生と2年生の娘を帯同して渡米。90〜91年、ロサンゼルス補習授業校あさひ学園父母の会会長を務める。95年にJERC日米教育サポートセンター理事兼教育アドバイザーとなり、日本人家庭からの教育相談を受けているほか、教育オリエンテーション等を開催している。海外に住む日本人の子どもの日本語/国語教育にも従事。2018年より現職。
http://www.jerc.org
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