河野行政改革相の「脱ハンコ(印鑑)宣言」で不要になる? 日本の印鑑について

皆様、明けましておめでとうございます。すがすがしい気持ちで新しい1年をスタートさせたいところですが、昨年末から日本でもCOVID-19の第3波が猛威を振るい年末年始のお祭り気分も自粛ムードで今一つだったようです。1月8日から関東1都3県で緊急事態宣言が発令されました。もっとも飲食店などの営業は午後8時までと時間限定的(前回は終日休業)な規制ということもあり、人によって深刻さの受け取り方はまちまちなようです。2020年9月にスタートした菅内閣も連日この対応に追われています。

ところで、今回の菅内閣で行政改革担当大臣となった河野太郎大臣が、改革推進の一つとして「脱ハンコ」の方針を打ち出しました。かねてより日本文化の特徴の一つであった印鑑制度は、その必要性について取り上げられることはありましたが、結局は大きな進展はありませんでした。しかし実行力のある河野大臣が明言したことで、脱印鑑への動きが加速しそうです。

海外在住者には以前日本で使用していた印鑑をお持ちの人もいると思いますが、日本国外で使用する機会が少ないことから、徐々に種類や役割について忘れかけている人もいることでしょう。そこで今回は、印鑑について今一度紹介したいと思います。日本にある自分や親の資産管理、相続など将来発生するであろう場面でとても重要になります。

1.印鑑の書類

印鑑は3つの種類に分類できます(個人の場合※1)。

(1)実印
市区町村役場に登録した公的に認められた印鑑のことをいいます。住民票のある市区町村役場に印鑑を登録する(一人1個のみ可)ことを印鑑登録といい、登録された印鑑を実印と呼びます。登録することで「印鑑証明書」を発行することができ、この証明書があることで「間違いなく本人が実印を押印した書類」であることが認められます。実際に使用されるケースとしては、金銭的な取り引きのある契約書などが挙げられます。具体例としては以下が挙げられます。

・不動産の購入・売却・賃貸契約締結時
・各種ローンを契約締結時
・自動車を購入・売却・譲渡する時
・遺産相続をする時
・生命保険や損害保険などへの加入時、保険金の受取時

こうした本人かどうかの確認が大切な場面では、実印と印鑑証明書によって本人確認を行うことになります。

(2)銀行印
実印は市区町村役場に登録するのに対し、銀行印は金融機関に届出することで、銀行に預けたお金を下ろす人が預金者本人かを確認するためのものです。利用する金融機関にあらかじめ印鑑を届け出て、預金引き出し時に印鑑の印影を銀行側が確認して本人確認を行うものです。口座(通帳)ごとに届出印を変えることもできます(1人で複数届出可)。なお、銀行のキャッシュカードによる一定額までの現金引き出し、オンラインバンキングでの取り引きでは、届出印がなくても行えます。

(3)認印
認印は、実印や銀行印が必要な時以外に使用するもので、主にお役所の手続きで利用されます。下記は一般的に利用されるケースです。

・出生届
・婚姻届・離婚届
・公的な届出書(転入届や転出届など)
・住民票の申請
・国民健康保険、介護保険の手続き
・戸籍謄抄本の請求
・各種社会保障関連の手続き
・国民年金の手続き
・会社提出書類(扶養控除等申告書・雇用契約書・入社誓約書など)

認印は1人で複数持っていても構いません。また認印にはシャチハタ印と呼ばれるものがありますが、これはインク補充タイプの印鑑でシャチハタというのは実際に製造したメーカー名からとったものです。シャチハタ印は会社内の回覧印や郵便、宅配便等の受領印として利用されるのが一般的です。

2.海外在住者のケース

前述の通り実印は市区町村役場に登録するものですから、日本国内に住民票のない海外在住者は当然利用(印鑑登録、証明書発行)することはできません。ただし日本居住時に印鑑登録し、現在も住民票が日本にあれば利用することはできます。日本に住民票のない海外在住者が実印を必要とする取り引き(たとえば日本国内でのマンション購入など)を行う場合、サイン証明書(署名証明書=Signature Certificate)が必要となります。サイン証明書は日本領事館で発行してもらうことができますが、取り引きによっては公証人(Notary)発行のものでも対応可能の場合があります。

海外移住後も日本の銀行口座を保有している人は少なくありませんが、日本の銀行では通帳と銀行印が重要です。海外移住後は使用する機会がなくなるためうっかり保管場所を忘れがちですが、加齢による認知症発症や不慮の事故で亡くなったケースでは、通帳、銀行印がないと家族が後で管理する際に手続きが面倒になるので、きちんと管理しておきましょう。※2

※1:法人の場合、会社印、代表社印、銀行印などがあります。
※2:通帳、銀行印を紛失した場合は各金融機関に個個別に問い合わせてください。

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蓑田透 (Minoda Toru)

蓑田透 (Minoda Toru)

ライタープロフィール

早稲田大学理工学部卒業後、総合商社入社。その後子会社、外資系企業等IT業界で開発、営業、コンサルティング業務に従事。格差社会による低所得層の増加や高齢化社会における社会保障の必要性、および国際化による海外在住者向け生活サポートの必要性を強く予感し現職を開業。米国をはじめとする海外在住の日本人の年金記録調査、相談、各種手続きの代行サービスを多数手がける。またファイナンシャルプランナー、米国税理士、宅建士、日本帰国コンサルタントとして老後の日本帰国に向けた支援事業(在留資格、帰化申請、介護付き老人ホーム探し、ライフプラン作成、不動産管理、就労・起業、税務等の相談・代行)や、海外在住者の日本国内における各種代行、支援サービス(各種証明書の取得、介護・葬儀・相続など日本在住の老親のサポート)を行う。

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