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【ニューヨーク不動産最前線】
年明けは管理費が値上がり
- 2018年12月17日
サンクスギビングが終わると同時に、ニューヨークの町はクリスマスモードになります。町なかにある街路樹はデコレーションされて、オフィスビルも住宅ビルもロビーには大きなツリーが飾られます。緑溢れる夏もいいのですが、この時期のマンハッタンはとても綺麗です。特にクリスマスに関心がなくても、光と色に囲まれていると歩いているだけでも楽しいですね。
ところが年が明けると一気にデコレーションが消え、寂しくなるのに追い打ちをかけるように、コンドミニアム・コープの管理費(コモンチャージ)が値上がりします。12月に入ると翌月の請求書とともに、管理費の値上がりを知らせるレターが管理会社からオーナーに送られてきます。うちにも来ました。来年は管理費が4%値上がりするそうです……。
どこのビルも似たり寄ったりですが、値上げの理由はオペレーションコストの値上がりです。主なものはこんな感じです。
●ビルの設備のメンテナンス:エレベーターの保守点検(これはオペレーションコストの中でも金額がかかる最上位に入るそうです)、屋上のメンテナンス(特に水漏れの有無の確認と補修工事)、窓枠や外壁のメンテナンス
●保険料、光熱費の値上がり
●人件費の値上がり
●リザーブファンド(ビルの余剰金)の蓄えを増額するため
●ビルを見栄え良く保つための改修工事(ロビー、廊下、地下のメンテナンス)
特に最初の3つは必要不可欠の出費のため、避けることができません。保険料も人件費も年々上がる一方です。マクドナルド店員の最低時給も17ドルが保証されるNYCで、ビルのスタッフのユニオンが強いマンハッタンではスタッフの人件費が下がることはあり得ないでしょう。
リザーブファンドも、ビルの毎月の運営コストの最低6カ月〜1年分くらいは必要だといいます。緊急事態に備えてリザーブファンドを蓄えておくというのも、仕方のないことでしょう。コンドミニアムやコープによっては、手持ちの余剰金をファンド投資運用しているところもあり、運用がうまくいけば管理費を上げるどころか逆に下がるという事例もあることはあるようですが、それは全盛期の金利がとても高かった時代の話で、2000年以降はそのような羨ましい話は耳に入ってきません。
一番確実で手っ取り早いのは、やはり各部屋の管理費を上げることでしょう。大規模な補修が必要になったり、ビルが訴訟を起こされたりして一時的に大金が必要になった場合には、管理費の値上げだけではまかないきれず、一時金(アセスメント)という名目で一定期間(数カ月〜数年に及ぶ場合もあります)徴収するというケースもあります。
ビルとしても、ただオーナーの負担を増やすだけではなく、いろいろと対処法を考えてはいます。
たとえば、
・賃貸や売却の際のコンドミニアムへの支払い費用の増額(アプリケーションフィーや引越し用エレベーター使用料の増額)
・賃貸の際、レントの一部をコンドミニアム・コープに納めるようにする(レントの4%程度が多いようです)
・売却の際のフリップタックスの導入(タックスと呼んでいますが、実質的にはコンドミニアムへ支払うギフト金です)
これらは結局オーナーへ負担が跳ね返ってくるものですが、その他にユニークなのは、映画・ドラマ撮影のために撮影会社に屋上、建物内の撮影を許可したり、撮影スタッフへ部屋の提供をしたりというのもあります。
ニューヨークではしょっちゅうどこかで映画やドラマの撮影をやっているので、案外これは収入源としてカウントできるのかもしれません。実際にうちのビルでも屋上の撮影をしたり、控え室やラウンジを撮影スタッフに貸し出したりしていました。毎月の管理費の負担が少なくなるのなら、私は個人的にはこの案は賛成です。
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