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海外教育Navi 第18回
〜海外赴任が決まった時の家族への伝え方〜〈後編〉
記事提供:『月刊 海外子女教育』(公益財団法人 海外子女教育振興財団)
- 2018年12月15日
海外勤務にともなう子育てや日本語教育には、親も子どもも苦労することが多いのが現状。そんな駐在員のご家族のために、赴任時・海外勤務中・帰任時によく聞くお悩みを、海外子女教育振興財団に所属するプロの相談員たちが一つひとつ解決すべくアドバイスをお届けします。
Q.海外赴任が決まりましたが、妻も子どもも乗り気ではありません。家族を前向きにさせる方法はありませんか。
前回のコラムでは、渡航前の家族での話し合いやこどもの説得の仕方について説明しました(前回記事へ)。今回はその続きをお話しします。
米国滞在中に学んだこと
私がアメリカに滞在していたときに友人宅であった出来事です。6歳のジョン君が不満そうな顔で帰宅しました。
「どうしたの?」
「トムが僕の大事なゲームを勝手に使ったんだ!」
「うんうん、それで」
母親は冷静に受け止め、話を聞き終えると、子どもに「それは悔しかったね」と。そして「トムはどうしてあなたのゲームを勝手に使ったのかな? あなたはどうしたらよかったと思う?」と原因を考えさせ、子どもが自分で解決法を見つけるまで、ゆっくりと辛抱強く応答を繰り返していました。
小さいときから、「どうしたらよいのか」「なぜそう思うのか」を考え、自分で解決する訓練を日々の生活のなかで行っていることに気づかされました。
日本の子どもは自尊感情(「自分って、けっこういいじゃない」という具合に自分を信頼する感情)が低いという内容の記事を読んだことがあります。自尊感情がないと自信が持てず、依存性も強くなります。もしかしたら日本の子どもの自尊感情が育たないのは、親の先回りに要因があるのかもしれません。日常の出来事を通して親子のかかわり方を学びました。
親子会話・効果的な4ステップ
①よく聞く
子どもの話を聞くとき、途中で遮らないようにしましょう。スマホやテレビを見ながらというのも禁物です。そして「なるほど」「それで」「それからどうしたの?」「うん、うん、そうか」と、うなずきながら聞いていきます。そのような聞き方をしてもらうと、子どもは自分が大切にされている存在なのだと安心できます。
②共感する
「あら、そうだったの」「それはたいへんだったね」「つらかったわね」と共感してあげると、子どもの気持ちは楽になります。悩みを聞いてあげるだけで、半分は解決しているとよくいわれるゆえんです。
③共に考える
子どもが話を終えて気持ちが落ちついたら、「じゃあ、どうしたらいいと思う?」「あなたはどうしたいの?」と子どもに考えさせながら、寄り添います。これを繰り返すことで、自分を表現する力も身につきます。
④励ます
最後に「応援するからがんばって」「あなたならきっとできるよ!」と励ましてあげましょう。
この4つの基本的なステップは、親子間だけでなく夫婦間や友人との関係においても効果的です。
最後に
海外で暮らすことは、現地の人たちと直接触れ合い、学び分かち合えるよい機会です。さまざまな考え方も学べます。社会のグローバル化、高度情報化が加速するいま、蓄積した知識や技術を他者と協働しながら問題解決へとつなげる能力が求められています。海外生活はそのような能力を身につけるよい機会にもなり、今後の家族に大きな成長と得がたい財産をもたらしてくれるでしょう。
海外駐在経験者から「家族で社会問題を話すようになった」「家族の絆が強くなった」「困難を乗り越える力がついた」等の連絡をいただきます。
海外生活は家族皆の新しい発見のチャンスにもなります。ぜひ一歩踏み出す勇気を! 道はかならず開けますから。
海外子女教育振興財団「渡航前配偶者講座」講師
小木曽 道子
ドイツとアメリカ・ロサンゼルスに合計10年間滞在。アメリカではふたりの娘を現地校に通わせ、現地校のボランティア活動に参加。地区教育委員会で2カ国語諮問委員会の議長を3年間務め、海外から転居してきた親子をサポート。帰国後、海外子女教育振興財団「現地校入学のための親子教室」の講師を務め、現在は「渡航前配偶者英語講座」の講師および「外国語保持教室」のサポートスタッフを兼務しているほか、東京都青少年育成課・防犯課「こころの東京革命協会」チーフアドバイザー、「日本マチュピチュ協会」理事を務め、カウンセラーとしても活動している。
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