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日本の障害年金(Disability Pension)について〈後編〉
文&写真/蓑田透(Text and photo by Toru Minoda)
- 2019年5月16日
前回に引き続き、今回は心身に障害がある場合に支給される障害年金についてのお話です。前回は対象者、障害の状態、受給額などについて紹介しました。今回は支給要件や請求手続きについて紹介します。
支給要件
障害年金の支給要件としては、普段から毎月の保険料を納付していること(下記①)、障害の状態が一定期間継続していること(下記②)が求められます。
①障害が発生した日(医療機関での初診日)の前々月までの年金加入期間に3分の2以上保険料を納付していること(パターンA)。または前々月までの直近1年間に未納がないこと(パターンB)。
例:40歳以降、10月に初診を受けた年金加入者の場合
パターンA 年金加入時(通常は20歳)から8月までの期間中、3分の2(約13.4年)の
期間、保険料を納付していること
パターンB 前々月までの1年間(39歳以降の8月から1年間)に保険料の未納がないこと
②初診日から1年6カ月後(障害認定日)の障害の状態が、1~3級の状況であること。なお、1年6カ月後の傷病状態が年金支給要件に達していない(軽い)場合でも、その後の支給要件に達する状態になれば事後の請求は可能です。
ケース別受給の可能性
以下は海外居住者の年金受給の可能性について、年金加入状況のケース別にまとめたものです。
請求のための手続き
請求手続きは日本各地にある年金事務所で行えます。書類の郵送による請求手続きも可能ですが、海外からとなると、追加書類の提出や不備があった場合に差し戻しなども考えられるため現実的ではありません。
また請求手続きで多くの人が苦労しているのが、初診日と障害状態に関する書類の入手です。前者は医療機関の証明書、後者は医師の診断書になりますが、すでに医療機関を受診した人については過去にさかのぼっての入手となるため、時間が経過してしまっていると病院側ですでに破棄されて入手できないことがあります(医療機関でのカルテ等保存期間は5年)。
書類については米国の医療機関のものでも有効です。ただし、日本年金機構に提出する診断書は日本語版のみで、記入項目数も多いです。一応、外国の医療機関向けに英訳資料があります。必要な場合は日本年金機構にお問い合わせください。日系企業の駐在員は、本社の福利厚生担当者にアドバイスを求めるのがよいでしょう。
いかがでしょうか? 最近は障害年金受給者の増加にともない年金財源の支出が増え、障害年金の審査が厳しくなっています。障害の状態が受給可能な等級であるにもかかわらず、診断書の書き方によって審査が通らなかった場合も見受けられます。ご自身でも請求手続きは可能ですが、こうした状況を避けるためにも専門家に相談する方法を検討した方がよいかもしれません。
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