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海外教育Navi 第46回
〜子どもが海外生活でうまくやっていく方法〜〈後編〉
記事提供:月刊『海外子女教育』(公益財団法人 海外子女教育振興財団)
- 2020年2月15日
海外勤務にともなう子育てや日本語教育には、親も子どもも苦労することが多いのが現状。そんな駐在員のご家族のために、赴任時・海外勤務中・帰任時によく聞くお悩みを、海外子女教育振興財団の教育相談員等が、一つひとつ解決すべくアドバイスをお届けします。
Q.海外赴任が決まりましたが、子どもは引っ込み思案で海外でうまくやっていける気がしません。できれば家族でいっしょに行きたいのですが……。
前回のコラムではリフレーミングについてと、子どもの積極性を育てるヒントを2つご紹介しました(前回記事へ)。今回はその続きをお話しします。
子どもの積極性を育てる5つのヒント
3. 「自信」イコール「積極性」
うれしいこと、つらいことも含め、たくさんの経験を積むと積極性・やる気・チャレンジ精神へと心が動いていきます。これらのエネルギー源は自信へとつながります。
子どもに自信をつけさせるには体験を重ね、その子のがんばっているプロセスを認めて、プラスの声かけをしてあげること。親の褒めことばは子どもの心に残り、生涯の原動力になります。
4. 友達と遊ぶチャンスを!
子ども同士の触れ合いは、成長するうえで不可欠なものです。さらにコミュニケーション力も伸ばします。クラブ活動に参加したり、趣味のグループに所属したり、外で友達とのびのび遊ぶ時間があったりすると会話も弾み、ストレスの発散にもつながります。
海外での生活では、国内にいるときより家族ぐるみで集まる機会も多くなります。そこで出会う子ども同士で遊んだり、自然に多くの人と会話が弾んだりすることも体験します。
5. 個性を認める。親が陥りやすい「お決まり12型」
海外では「個性」は「魅力」と受け止められます。日本では「個性」は「短所」にもなりかねなく、叱ってでも型にはめようとするなど協調性を大切にする傾向にあります。これは個性をつぶしていくことにもなりかねません。積極的な子どもに育てるには「個性を認める」ことが大切です。
親はすぐに「お決まり12型」で反応すると、心理学者のトーマス・ゴードン氏は記しています。12の型とは「命令、注意、説教、忠告、講義、批判、同意、馬鹿にする、分析、激励、尋問、中止」です。
親の「ひとこと」言いたくなる気持ちをグッとこらえて子どもを認めてあげてほしいと思います。ただし親として叱らなければならない場合、あるいは会話のなかで親と子の意見が違う場合はどんどんコミュニケーションを取って「あなたの意見も聞かせて」と展開していきましょう。そうすると子ども自身も会話していくなかで話す内容が整理されていきます。これは自分の考えをしっかり持ち、論理的に相手に伝える訓練にもつながります。
家庭のなかで親が冷静に子どもの会話に対応することは、子どもの成長を育む大切な要素なのです。
最後に
今回のご相談は「引っ込み思案のお子さんが海外でうまくやっていけるか」というものです。強調したいことは、どのお子さんも「今後の成長と可能性は無限大である」ということです。後ろ向きに見えるお子さんの態度も裏を返せば、前に向かうための準備の表れなのです。
新しいことにチャレンジするときは、自己が揺らぎ自分の一部しか出せない不安と向き合いながら心の葛藤の連続を経験します。この心の葛藤のプロセスのなかで、どちらも自分なのだという自己肯定感を持てたとき、「私は大丈夫(I am OK)」となるのです。自己信頼感がしっかり根づいていくプロセスを通じて自分はこれでいいのだと感じ、自分の中で1つの統合の形ができるのです。そのためには時間が必要です。
親ができることは子どもの不安や葛藤に寄り添い、信じ、見守り応援していくことです。お子さんはそのなかから新しい自分を発見することでしょう。家族がいっしょに赴任して、いまは引っ込み思案のお子さんが3年後、5年後どのように変わっていくのか、寄り添いながら応援してあげてほしいと思います。
成長したお子さんとご両親がどのような会話を弾ませるのか楽しみです。
海外子女教育振興財団「渡航前配偶者講座」講師
小木曽 道子
ドイツとアメリカ・ロサンゼルスに合計10年間滞在。アメリカではふたりの娘を現地校に通わせ、現地校のボランティア活動に参加。地区教育委員会で二カ国語諮問委員会の議長を3年間務め、海外から転居してきた親子をサポート。帰国後、海外子女教育振興財団「現地校入学のための親子教室」の講師を務め、現在は「渡航前配偶者英語講座」の講師および「外国語保持教室」のサポートスタッフを兼務しているほか、東京都青少年・治安対策本部青少年課青少年応援ナビゲーター、「日本マチュピチュ協会」理事を務め、カウンセラーとしても活動している。
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