深刻化する日本の空き家問題

文&写真/蓑田透(Text and photo by Toru Minoda)

日本では空き家問題が深刻化しています。その数は2018年時点で846万個に達し、住宅総数に占める割合は13.6%、ほぼ7軒に1軒が空き家になっています(総務省統計局「平成30年住宅・土地統計調査」による)。もちろん都市圏と地方圏ではその率は異なり、もっとも高い甲信、四国地域では20%前後、もっとも低い関東(埼玉、東京、神奈川)では10%台となっています。私が住む東京都内においてもおよそ10件に1件が空き家ということになり、町なかを少し歩けば戸建、集合住宅(マンション、アパート)にかかわらず一目で人が住んでいないと分かる空き家を見つけることができます。

米国在住者の中にも日本で空き家を所有している、または(特に相続などで)空き家を所有する可能性のある人がいると思います。そこで今回は、空き家に関する問題や今から考えておくべき点について紹介します。

1.空き家の原因

空き家となる主な原因は以下の通りです。

1)人口が減少し世帯数が総住宅数を下回る状況となっている

2)高齢化にともない、介護が必要となった高齢者が高齢者施設や親族の家へ移ることになり自宅を離れる状況になっている

3)日本では住居について新築を好む傾向があり、新築物件が継続して販売される一方で、中古住宅の流通が今一つ伸びない

一方空き家の所有者の取得理由について調査した結果では、①相続(52.3%)、②新築した・新築を購入した(23.4%)、③中古を購入した(16.8%)、となっています(国土交通省「平成26年空き家実態調査」による)。

高齢化が進むなかでは相続により空き家を所有する人の数もさらに増えていくことが予想され、今のうちからその問題点と対策を知っておくことが大切です。

2.空き家の問題点(デメリット)

空き家を保有するデメリットとして以下があげられます。
維持のためのコスト負担
固定資産税、光熱費、管理委託費、修繕費など
各種リスクによる損害賠償の危険性
空き家からの失火、不審者が住み着くことによる治安の悪化、草木の隣家への侵入など
共有持ち分による親族との揉めごと
費用や税金の負担について。世代が進むと持ち分がより複雑化

3.対策

現状の空き家状態を回避する方法としては「自分たちで住む」「売却する」「賃貸する」のが基本となります。しかしその実現については容易ではなく、解決しなければならない点があります。

自分たちで住む
住むといってもすでに場所が決められており、立地の利便性(交通機関、仕事や学校、公共施設や商業施設など)はどうか? また築年数が経っている場合、十分な快適性は得られるか?

売却する
相続による所有など古い物件では満足する価格での売却は難しいです。場合によっては買い手が見つからない状況も考えられます。更地にして土地を売却という方法も考えられますが、解体費を負担しなければなりません。

賃貸する
相応の価格で借り手を見つけるにはリフォームの必要もあります。また賃貸契約の家主として責任なども発生します。

大事なことはこれらの点を理解した上で、早いうちから対策を考え始めることです。
●売却する場合、築年数が経過するほど、また市場における空き家が増えるほど難しくなります。将来を見据えて早い機会の売却を考えましょう。
●海外居住者が日本へ帰国してからの住居とする場合、住居を中心とした生活スタイルを考えましょう。リタイヤ後であれば通勤もなく、立地の利便性のハードルも下がります。
●今後の方針が決められない場合でも、定期的に(年に1、2回)空き家のメンテナンス(清掃、修繕、草むしりなど)を行ない、できるだけ劣化を防ぎましょう。海外居住者が自分でメンテナンスができない場合は、業者に依頼することも可能です。
●将来のことについて親と相談しておきましょう。これは家のことだけでなく親の老後の介護や相続の面でも大切です。

4.参考情報

●空き家の売買、賃貸については空き家バンクへの登録が可能です。最近では民間と一部の地方自治体が提供するものが複数あります。ここへ登録すれば、比較的安い物件を探している人、若者などで地方移住を考えている人などの目にとまりやすくなります。また所有物件の近隣にある不動産業者や空き家バンクを運営する地方自治体の担当者に相談するのも良いでしょう。
●相続の可能性のある実家については、今後の方針を親子で十分に話し合って決めることが必要です。実家は親の住居ですから、処分ともなれば親の十分な理解が必要です。時間がかかりますので、機会を見つけて段階的な話し合いをするようにしましょう。一方で、親が高齢者施設に入居するような場合は入居費が必要となります。その場合の費用も、親の住居を売却して費用を捻出するという方法は有効です。
●相続となった場合、兄弟の共有財産となりますので、その取り扱いも共有者全員の同意が必要となります。その意味でも、早い段階から関係者全員で話し合いを行なうことをおすすめします。

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蓑田透 (Minoda Toru)

蓑田透 (Minoda Toru)

ライタープロフィール

ライフメイツ社会保険労務士事務所代表。早稲田大学卒業後IT業界に従事していたが、格差社会による低所得層の増加や高齢化社会における社会保障の必要性および国際化による海外在住者向け生活サポートの必要性を強く予感し、現事業を開業。米国をはじめとする海外在住の日本人の年金記録調査、相談、各種手続の代行サービスを多数手掛ける。またファイナンシャルプランナー(CFP・1級FP技能士)、米国税理士、宅建士として老後の日本帰国に向けた支援事業(在留資格、帰化申請、介護付き老人ホーム探し、ライフプラン作成、成年後見制度、不動産管理、就労・起業、税務、等の相談・代行)や、海外在住者の日本国内における各種代行、支援サービスを行う。

ホームページ:ライフメイツ(ライフメイツ社会保険労務士事務所)
 日本の年金・老後の帰国相談室
 障害年金相談室
 コロナ対策助成金相談センター

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