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日本での老後の住み替え計画を考える
文&写真/蓑田透(Text and photo by Toru Minoda)
- 2020年5月29日
高齢化が進み、人生100年時代といわれるようになってきました。平均寿命の延びとともに日本の高齢者施設の種類や介護サービスのスタイルも増えており、老後の住み替え計画についてもいろいろな選択肢が考えられます。そこで今回は、将来必要になるであろう介護サービスを念頭に置きながら、どのような住み替えパターンがあるのか紹介したいと思います。
1.介護の必要性から見た期間
老後といっても
①健康で自分自身で日常生活ができる時期(自立期)
②日常生活に一定の手助けが必要な時期(要支援期)
③手助けがないと日常生活できない時期(要介護期)
に分けることができます。②の要支援期というのは、日常生活ができず介護が必要というほどではないが、たとえば足が悪くて階段を上るのに苦労する、用事や買い物で自由に外出できず誰かの付き添いが必要、といった状態をいいます。具体的にはバリアフリーや共用食堂といった施設面、デイサービスや見守りサービスなどの支援が必要な状態です。その時期がいつになるかといえば、公的介護保険の利用状況から目安にすることができます。厚生労働省が発表した「平成30年度介護給付費等実態統計の概況」※1 の介護保険の年齢階層別の受給者数の割合を見ると、男性の場合85~89歳で約3割、90~94歳で約半数が、女性の場合85~89歳で約4割、90~94歳で約6割が介護保険の給付を受けています。したがって、個人差はありますが、現時点での目安としては80歳代を要支援期と見て良いのではないでしょうか。
2.高齢者施設の種類
主な高齢者施設として以下のものがあります。それぞれ特徴がありますが、ここでは介護サービス、費用面だけを紹介します。※2
特別養護老人ホーム 〔要介護期向け〕
在宅での生活が困難になった、要介護の高齢者が入居できる公的な介護保険施設で、よく「特養」と呼ばれます。要介護3以上の介護認定を受けた高齢者が対象であり、民間運営の有料老人ホームなどと比べると費用が安いのが特徴です。入居希望者が多いので、施設によってはすぐに入居できない場合もあります。
軽費老人ホーム(ケアハウス) 〔要支援期向け〕
特養のような公的施設でもなく、民間企業の運営でもない社会福祉法人が運営する施設です。そのため費用も入居一時金が発生するなど特養よりかかりますが、有料老人ホームほどかかりません。要支援期の高齢者に適しています。
有料老人ホーム
住宅型 〔自立期向け〕
介護型 〔要支援期・要介護期向け〕
民間企業が運営する高齢者施設で、自立期に適した「住宅型」と要支援期、要介護期に適した「介護型」があります。入居一時金を含め費用がかかります(入居一時金は数十万~数千万円)。シニア向け分譲マンションのような所有権を購入するのではなく、終身利用権を取得する契約形態です(利用権の売却、相続はできない)。
サービス付き高齢者住宅 〔自立期向け・要支援期向け〕
主に自立(介護認定なし)あるいは軽度の要介護状態の高齢者を受け入れる賃貸住宅です。生活相談員が常駐し、入居者の安否確認やさまざまな生活支援サービスを受けることができます。民間企業のほか、公営住宅やUR都市機構が運営する「シルバーハウジング」があります。有料老人ホームに比べ費用が掛からないので利用者が増えています。
シニア向け分譲マンション 〔自立期向け・要支援期向け〕
温泉施設、運動施設、コンシェルジェなど高齢者に適した共有部分が併設された高齢者向けの分譲マンションです。タイプとしてはサービス付き高齢者住宅に近いですが、介護サービスがある場合、その分費用はかかります。所有権を購入するので、介護施設に入居する際に売却することができます。
3.老後の住み替え計画
一般的に老後生活といわれる60歳代前半からの約30年間の居住パターンを考えてみましょう(下のケースA~F)。
自立期までは自宅で暮らす場合が多いと思いますが、加齢による体の衰えとともに積み替えが必要になるでしょう。なお、ここでは費用を抑えるため、施設に入居せず自宅で介護業者を利用するケース(A~C)も含めました。ただし、介護業者を24時間毎日利用することは現実的に難しく、家族の協力が必要になります。
※2:2017年2月1日コラム「老後の日本帰国のための情報『高齢者施設について』」を参照
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