米市民権取得者が知っておきたい、日本帰国時に必要となる在留資格① ~制度概要〜

ここ数年当社への問い合わせとして、老後を日本で暮らす場合の帰国手続きに関するものが増えています。長年居住していた米国から外国である日本へ移住(転居)するわけですから、いろいろな手続きが必要となります。特にその中でも一般の方には分かりにくいものの一つに、在留資格申請手続きがあげられます。今回はこの在留資格について紹介しますが、内容が多いため2回に分けて紹介します。1回目は在留資格の種類についてです。

1.在留資格とは

在留資格は、外国人(日本国籍以外のもの※)が日本で中長期(3カ月以上)滞在する場合に必要となる資格になります。よく誤解されるものとしてビザ(査証)がありますが、在留資格とビザは異なるものです。ビザは日本への入国を在外公館(海外の日本領事館)が認めるもので、外務省が主管となります。一方、在留資格は来日した外国人が3カ月以上滞在する場合、申請した資格(目的)での滞在として問題ないか審査するもので、法務省が主管となります。したがってビザだけでは日本に入国できても3カ月以上は滞在できません。また在留資格には「旅行(観光)」や「商用(仕事で短期出張)」を目的としたものはありませんので、これらの目的で3か月以上日本に滞在することはできません。

2.在留資格の種類

資格(目的)と書きましたが、日本に滞在する外国人の活動内容によって種類分けされており、30近い資格があります。

A)就労関係の在留資格
技術、国際業務、教授、投資・経営、医療、研究、特定技能、技能実習 など
B)留就学・文化活動・研修関係
文化活動、研修、留学、特定活動、家族滞在 など
C)家族構成など身分に基づき在留するもの
日本人の配偶者等、永住者の配偶者、定住者 など

在留資格の種類一覧については下記法務省のWebページで確認できます。
http://www.immi-moj.go.jp/tetuduki/kanri/qaq5.pdf

3.老後(引退後)に日本へ帰国する場合の在留資格の種類

元日本人※で外国籍を取得した人が帰国する場合は、上記Cの種類にある「日本人の配偶者等」の在留資格を申請することができます。ここでいう「配偶者等」とは、配偶者(夫や妻)だけでなく子も含まれます。外国籍を取得した日本人は日本人の子(実子)ですから、この種類に該当します。親がすでに亡くなっていても、日本人の子としての身分に変わりはないので申請可能です。以下は米国から日本へ独身または夫婦で帰国する際に申請する在留資格を、ケース別にまとめたものです。

ケース1> 独身:元日本人で米国籍
「日本人の配偶者等(日本人の子として)」で申請

ケース2> 夫婦:夫(または妻)が日本国籍で、妻(または夫)は元日本人で米国籍
妻は「日本人の配偶者等(日本人の子として)」で申請

ケース3> 夫婦:二人とも元日本人で米国籍
二人とも「日本人の配偶者等(日本人の子として)」で申請

ケース4> 夫婦:夫(または妻)が日本国籍で、妻(または夫)は(生来の)外国籍
妻は「日本人の配偶者等(日本人の妻として)」で申請。なお、このケースでは一定期間を超える婚姻の事実が必要となります。また申請時にはそれを証明するもの(二人で写っている写真など)も必要です。

ケース5> 夫婦:夫(または妻)が元日本人で外国籍を取得、妻(または夫)は(生来の)外国籍
夫は「日本人の配偶者等(日本人の子として)」で申請。一方妻は「定住者」で申請。ケース4同様一定期間を超える婚姻の事実が必要となります。

いかがでしょうか? 次回は申請手続きや審査内容について紹介します。

(※)米国永住権(グリーンカード)を持つ日本人は在留資格を必要としません。外国籍を取得した場合でも、日本国籍を放棄していない場合は申請できません。米国籍を取得したものの日本国籍を残したままで今後の対応が分からない場合は、当社までご相談ください。

この記事が気に入りましたか?

US FrontLineは毎日アメリカの最新情報を日本語でお届けします

蓑田透 (Minoda Toru)

蓑田透 (Minoda Toru)

ライタープロフィール

早稲田大学理工学部卒業後、総合商社入社。その後子会社、外資系企業等IT業界で開発、営業、コンサルティング業務に従事。格差社会による低所得層の増加や高齢化社会における社会保障の必要性、および国際化による海外在住者向け生活サポートの必要性を強く予感し現職を開業。米国をはじめとする海外在住の日本人の年金記録調査、相談、各種手続きの代行サービスを多数手がける。またファイナンシャルプランナー、米国税理士、宅建士、日本帰国コンサルタントとして老後の日本帰国に向けた支援事業(在留資格、帰化申請、介護付き老人ホーム探し、ライフプラン作成、不動産管理、就労・起業、税務等の相談・代行)や、海外在住者の日本国内における各種代行、支援サービス(各種証明書の取得、介護・葬儀・相続など日本在住の老親のサポート)を行う。

●豊富な実績に基づくていねいなサポートで
ひっきりなしに持ち込まれるお客様からの国際手続きに関する多種多様なご依頼、ご相談(お悩み)を断り切れず休日返上で対応しているうちに、気がつけば(年金、日本帰国といった当初の事業以外の)あらゆる分野のノウハウを備えたオールラウンドコンサルタントに。当社で対応できないケースでも、的確な解決方法や提携先の他分野専門家を紹介します。

ホームページ:ライフメイツ(ライフメイツ社会保険労務士事務所)
 日本帰国・年金・国際手続き相談室
 開催予定セミナー
 企業経営改善・助成金相談センター
 障害年金相談室(提携先)
Facebook:https://www.facebook.com/profile.php?id=100068965399645
Instagram:https://www.instagram.com/lifemates.minoda0/

この著者への感想・コメントはこちらから

Name / お名前*

Email*

Comment / 本文

この著者の最新の記事

関連記事

アメリカの移民法・ビザ
アメリカから日本への帰国
アメリカのビジネス
アメリカの人材採用

注目の記事

  1. 「石炭紀のガラパゴス」として知られ、石炭紀後期のペンシルバニア紀の地層が世界でもっとも広範囲に広が...
  2. ジャパニーズウイスキー 人気はどこから始まった? ウイスキー好きならJapanese...
  3. 日本からアメリカへと事業を拡大したMorinaga Amerca,Inc.のCEOを務める河辺輝宏...
  4. 2024年10月4日

    大谷翔平選手の挑戦
    メジャーリーグ、野球ボール 8月23日、ロサンゼルスのドジャース球場は熱狂に包まれた。5万人...
  5. カナダのノバスコシア州に位置する「ジョギンズの化石崖群」には、約3 億5,000 万年前...
  6. 世界のゼロ・ウェイスト 私たち人類が一つしかないこの地球で安定して暮らし続けていくた...
  7. 2024年8月12日

    異文化同居
    Pepper ニューヨーク同様に、ここロサンゼルスも移民が人口の高い割合を占めているだろうと...
  8. 2024年6月14日、ニナが通うUCの卒業式が開催された。ニナは高校の頃の友人数名との旅行...
ページ上部へ戻る