市民権取得者が知っておきたい、日本帰国時に必要となる在留資格③ ~更新手続きと永住許可申請〜

先日、米国在住の私の知り合い(医療従事者ではない一般市民)からCovid-19のワクチンの1回目の接種を行ったとの話を聞きました。自国の製薬会社が開発したものなのでさすがに早いなと思いました。一方、こちら(日本)は2月12日にようやくファイザー社のワクチンが航空便で日本に到着し、14日に厚生労働省に正式承認され順次接種が開始されます。もちろん医療従事者、高齢者の人たちからの接種となり、私の順番が回ってくるのは今年の年末頃かななどと思いながら、引き続き感染防止対策を心掛けた生活を送っています。

さて、米国籍を取得した人が日本に3カ月以上滞在または居住する場合に必要な在留資格については、最近問い合わせが増えていることもあり、以前のコラムでその種類(11月6日)と申請手続き(12月9日)を紹介しました。今回は在留資格の更新手続きと永住権について紹介します。

1.有効期間

日本人で米国籍取得者が在留資格を取得する場合、通常取得する「日本人の配偶者等」の種類では、有効期間は6カ月、1年、3年、5年です。もともと最長期間は3年でしたが、2012年に5年が追加になりました。

どの期間の在留が許可されるかは申請してみないと分かりません。申請時に提出された申請者本人の情報を見て法務大臣が決定します。ここ数年、当事務所で元日本人の在留資格申請手続きのお手伝いをさせていただいていますが、1回目の手続きでは大半のケースで3年で、1年、5年というのがときどきあるという状況です。

この有効期間の始期ですが、申請した日や認定証明書の交付日ではなく、実際に日本へ上陸し在留カードが発行された日となります。有効期間内は米国をはじめ日本国外へ出国することができますが、有効期間内に日本へ戻り更新手続きを行う必要があります。※

※関連情報 「再入国許可手続きについて」
在留資格を持つ人が日本国外へ出国する場合、事前に再入国許可手続きが必要です。この手続きを行わないと、再び日本に戻ることができません。ただし、出国の日から1年以内に日本へ戻る場合は、「みなし再入国許可」制度によって再入国許可手続きが不要となります(簡易な手続きだけで再入国できます)。

日本出国時に空港の入国審査官に対して、みなし再入国許可による出国を希望することを申告します。具体的には空港に再入国出国記録(再入国EDカード)というものが置かれているので、その旨を記入し提出します。

なお、参考ですが、米国にもグリーンカード保有者のための再入国許可(Reentry Permit)がありますので混同しないようにしてください。

2.永住許可申請

在留資格の種類の一つに「永住者」があります。在留資格は前述の通り有効期間がありますが、永住者には文字通り永住許可なので有効期間はありません。米国の永住権(グリーンカード)に似た扱いになります。権利としての有効期間はありませんが、グリーンカード同様、更新手続きは必要です。グリーンカードは10年ですが、日本の永住権は7年です。あくまでも在留カードの更新手続きなので在留資格の更新のような審査はありません。

永住許可申請では、「日本人の配偶者等」の在留資格の審査手続きより審査基準が厳しくなります。外国人がいきなり永住許可申請をすることはできず、まず在留資格を取得して日本に居住します。取得した在留資格が最長の有効期間を有している場合に永住許可申請が行えます(「日本人の配偶者等」の種類の場合、最長有効期間は5年ですが、3年でも永住許可申請ができます)。

いかがでしょうか? 「老後は日本へ永住帰国」という考えの人が、新型コロナ感染症の影響で今後さらに増えるかもしれません。米国籍を取得した人は参考にしてください。

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蓑田透 (Minoda Toru)

蓑田透 (Minoda Toru)

ライタープロフィール

早稲田大学理工学部卒業後、総合商社入社。その後子会社、外資系企業等IT業界で開発、営業、コンサルティング業務に従事。格差社会による低所得層の増加や高齢化社会における社会保障の必要性、および国際化による海外在住者向け生活サポートの必要性を強く予感し現職を開業。米国をはじめとする海外在住の日本人の年金記録調査、相談、各種手続きの代行サービスを多数手がける。またファイナンシャルプランナー、米国税理士、宅建士、日本帰国コンサルタントとして老後の日本帰国に向けた支援事業(在留資格、帰化申請、介護付き老人ホーム探し、ライフプラン作成、不動産管理、就労・起業、税務等の相談・代行)や、海外在住者の日本国内における各種代行、支援サービス(各種証明書の取得、介護・葬儀・相続など日本在住の老親のサポート)を行う。

●豊富な実績に基づくていねいなサポートで
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