海外教育Navi 第76回
〜子どもと一時帰国中にやるべきこと〜〈後編〉

記事提供:月刊『海外子女教育』(公益財団法人 海外子女教育振興財団)

海外勤務にともなう子育てや日本語教育には、親も子どもも苦労することが多いのが現状。そんな駐在員のご家族のために、赴任時・海外勤務中・帰任時によく聞くお悩みを、海外子女教育振興財団の教育相談員等が、一つひとつ解決すべくアドバイスをお届けします。


Q.日本に子どもと一時帰国しますが、その間にしたらよいことを教えてください。

前回のコラムでは、学習面やリフレッシュに関する一時帰国中の過ごし方についてご説明しました(前回記事へ)。今回は、その続きをご説明します。

体験入学

一時帰国した際に、お子さんを公立の小中学校に通わせることができます。一時的と決まっているものなので編入ではなく「体験入学」という扱いになる場合もあれば、住民票が海外転出になっていても一定の手続きをすることによって正式な編入になる場合もあります。

海外に住んでいるとはいえ、やはり日本の学校は体験したいですね。日本の文化や風習を知ることもできますし、学校で頻繁に使われる用語、たとえば「日直」「学級」「上履き」「係活動」などについて触れておくよい機会にもなります。

時期についてですが、体験入学する学校が2学期制なのか、3学期制なのか、運動会などの大きな行事がいつごろあるのかなど、学校とお子さん双方にとってよい時期はいつなのかを考えて選ぶ必要があります。まずは学校と相談するとよいと思います。

たとえば運動会についてですが、現地校やインターナショナルスクールに在籍されているお子さんにとって、日本の学校文化を体験できる貴重な場と捉えることができます。その時期では運動会という大行事の準備期間としてふだんの学習体制を多少崩して特別な進め方をする学校も多くあります。中途半端に練習だけ参加するのでは、受け入れ先の先生も対応がたいへんですし、お子さんも練習にあまり身が入らないということにもなりかねません。もし体験入学がちょうど運動会の時期に重なるようなら、運動会の練習開始から本番まで参加できるよう予定を組めるといいでしょう。

そのほか、それぞれの学期始めは特に、身体測定や家庭訪問など、通常の授業がカットされることも多いので要注意です。

一般的に「体験入学」と呼んではいますが、実際はたんなる体験ではなく、通常に在籍している子どもたちと同じように学校生活を送らなければなりません。たとえば、朝夕の登下校についても考えてみましょう。学校は全員について登下校時に事故にあったとき補償する保険に入る場合が多いのですが、その有無にかかわらず、事故などがあってもそれ以上は学校では責任は持たない、という場合もあるようです。そのため、できるだけ保護者のかたの責任で毎日送り迎えすることをお勧めします。お子さんが友達といっしょに登下校する場合は、後ろからついて歩くだけにしたり、いっしょに会話したりと親としての臨機応変な対応が望まれます。

そのほか、日本の学校は、上履き、体育館シューズ、体操服、各教科のノート、連絡帳、給食袋(ナプキンとマスク等)など個人で準備するものが比較的多いので、どこまで準備する必要があるか、事前に学校に確認しておくとよいでしょう。

そのほか、もろもろ

現地での学習に役立つ日本語で書かれた書籍を購入することもできますね。参考書だけでなく現地の学習を行っていてあった方がいいなぁと感じたものを書きとめておき、そのような書籍を日本で探して購入するとよいでしょう。

『高校受験案内一覧』などの受験に直接役立つ本だけでなく、たとえば最近、注目されている「持続可能な社会」や環境問題等について書かれた本を日本語で読むことも現地での学習の支えになります。

また、日本でしか手に入らないような文房具を買うのもいいでしょう。機能性に富んだ文房具を使いこなすことによって、現地での学習が進むことも考えられます。何でも日本製がいちばんという考えではなく、「品質のよい使いやすい文房具を手に入れる」という観点で探されるとよいと思います。実際に日本の物づくりのよさを実感する機会にもなります。

さらに、日本語を大いに使う機会にするという考え方もできます。短い期間でもせっかく日本に帰るのです。その間を活用して日本語を使う機会を増やすよう工夫されるとよいと思います。親戚や友達との会食、あるいは日本の映画を見る。図書館で日本の本をじっくり読む時間があってもよいと思います。

また夏休みなどの期間中であれば公民館などが主催する「子ども〇〇教室」といったイベントもたくさん行われていますので、スポット的に参加してもよい思い出になるでしょう。

最後に

もし時間があれば、東京と大阪に事務所のある本財団においでいただき、教育にかかわるいろいろな情報を得るのもよいかと思います。

海外滞在中の貴重な一時帰国の時間。あれもこれも、とやりたいことはいっぱいあると思いますが、先を見据えて有効に活用していただければ幸いに思います。

今回の相談員

海外子女教育振興財団 教育相談員
奥田 修也

ドイツのデュッセルドルフ日本人学校教諭、ベルギーのブラッセル日本人学校校長、中国の北京日本人学校校長として海外で多くの子どもたちや保護者に接した。2018年から海外子女教育振興財団の教育相談員として、渡航前・赴任中・帰国後の家族の教育に関するさまざまな相談を受けている。

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公益財団法人 海外子女教育振興財団 (Japan Overseas Educational Services)

公益財団法人 海外子女教育振興財団 (Japan Overseas Educational Services)

ライタープロフィール

昭和46年(1971)1月、外務省・文部省(現・文部科学省)共管の財団法人として、海外子女教育振興財団(JOES)が設立。日本の経済活動の国際化にともない重要な課題となっている、日本人駐在員が帯同する子どもたちの教育サポートへの取り組みを始める。平成23年(2011)4月には内閣府の認定を受け、公益財団法人へと移行。新たな一歩を踏み出した。現在、海外に在住している義務教育年齢の子どもたちは約8万4000人。JOESは、海外進出企業・団体・帰国子女受入校の互助組織、すなわち良きパートナーとして、持てる機能を十分に発揮し、その使命を果たしてきた。

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