海外教育Navi 第82回
〜日本の学校文化と行事を知ろう〜〈後編〉

記事提供:月刊『海外子女教育』(公益財団法人 海外子女教育振興財団)

海外勤務にともなう子育てや日本語教育には、親も子どもも苦労することが多いのが現状。そんな駐在員のご家族のために、赴任時・海外勤務中・帰任時によく聞くお悩みを、海外子女教育振興財団の教育相談員等が、一つひとつ解決すべくアドバイスをお届けします。


Q.日本の学校文化、給食や掃除、部活動、学校行事等について教えてください。

前回のコラムでは、日本の学校の給食や掃除についてご説明しました(前回記事へ)。今回は、その他の学校文化についてご説明します。

小学校の1日の様子

日本の多くの小学校では、授業の前に「朝の会」を行っています。そして、下校の前には同じく「帰りの会」を行います。時間は10〜15分ほどです。朝の会はその日1日の予定や学習内容などを確認するもので、帰りの会は1日のまとめを行います。

また、2時間目と3時間目の間に20分間の休み時間があります。自由に遊んだり、学級や学年の取り組みがあったりします。午前中は4時間目まで、給食をはさんで午後に5時間目と6時間目を行います。なお、学年によって時間数は変わります。

日直の仕事

日本の小学校や中学校には「日直」という毎日交代で行う当番があります。日直の決め方は出席番号順などで全員が周期的にあたります。小学校低学年では人前で話すことに慣れ、自信を持って毎日の生活や学習に臨めるようになることが目的の1つです。

では、日直って何をするのでしょうか。海外の学校にはない係でしょう。具体例を示します。

①朝の会、帰りの会の司会「これから朝の会を始めます」など。帰りの会で学級日誌を発表、1分間スピーチ。
②授業のはじめと終わりの号令。「起立! これから国語の授業を始めます。礼!」など。
③給食のはじめの「いただきます」、終わりの「ごちそうさま」。
④窓の開け閉め。
⑤教室を移動する際に電気をつける、消す。
⑥植物への水やり。
⑦授業が終わるごとに黒板をきれいに消す。
⑧その日の学級日誌を書く。

中学校の部活動(部活)

中学校の部活動に参加することは友達を増やし、学校生活を楽しむうえで大事なことです。興味ある部活動に参加してほしいと思います。

日本では学校ごとに部活動があり、種類もさまざまです。学級や学年を超えて自分の好みに合わせて自主的・自発的に参加します。顧問の先生と共に個人や集団としての目的や目標を持ち、仲間と切磋琢磨することを通じて思春期のなかで多くのことを学ぶ機会になります。この部活動を通して、生涯にわたってその活動に親しめるようになるでしょう。

部活動の意義
1年生の入学後に部紹介や体験入部期間が設けられて、実際に体験してどの部に入るか決めることができます。たとえば中学校の3年間継続すれば、専門的な知識・技能、豊かな人間関係、責任感・帰属意識、規範意識・社会性・協調性が身につき、体力や健康面を含めてお子さんの人間形成に大きくかかわってきます。

ある学校のホームページには次のように書かれています。「放課後の時間を有意義に使い、心身を鍛錬するクラブ活動。日々の努力やチームワークを学び、リーダーシップや友情を育む大切な活動です。運動部、文化部共に充実した設備で行い、大会にも積極的に参加しています」

部活動の例
運動系の部活動は、サッカー部、野球部、バレーボール部、卓球部、ソフトボール部、テニス部、バスケットボール部、剣道部など。

文化系の部活動は、家庭科部、演劇部、美術部、パソコン部、吹奏楽部、漫画部、将棋部などです。

練習時間
練習時間は放課後の2時間ぐらいが目安です。ただ学校によっては最終下校時刻が決まっていて、冬は17時、夏は18時が練習の終了時間になることが多いです。お子さんの安全や健康面を考慮してのことです。

学校行事

学校では1年を通してさまざまな行事が計画されています。それらを通して子どもが成長することを目的としていて、具体的には次のようなものがあります。①儀式的行事(入学式、卒業式、始業式、終業式、修了式、開校記念に関するものなど)②文化的行事(学習発表会、作品展示会、音楽会、演劇鑑賞会、地域の伝統文化等の鑑賞会など)③健康安全・体育的行事(健康診断、避難訓練や交通安全指導、運動会や球技大会など)④遠足・集団宿泊的行事(遠足、修学旅行、野外活動、集団宿泊活動など)⑤勤労生産・奉仕的行事(飼育栽培活動、校内美化活動、福祉施設との交流活動)などで、中学校では職場体験活動などが加えられます。

終わりに

お子さんの健やかな成長には、「早寝早起き朝ご飯」をはじめとした規則正しい生活習慣が大切です。

お子さんが健康を維持され、毎朝元気に登校し、仲間と楽しい学校生活を送られることを願っています。

今回の相談員

海外子女教育振興財団教育相談員
橋本 芳登

大阪府の公立小・中学校で教諭、教頭、校長を歴任。大阪府大東市教育委員会指導主事として3年間勤務。1995年の広州日本人学校(中国)創立時に教諭として、2016年からはヨハネスブルグ日本人学校(南アフリカ)に校長として勤務。2019年より海外子女教育振興財団の教育相談員を務めている。

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公益財団法人 海外子女教育振興財団 (Japan Overseas Educational Services)

公益財団法人 海外子女教育振興財団 (Japan Overseas Educational Services)

ライタープロフィール

昭和46年(1971)1月、外務省・文部省(現・文部科学省)共管の財団法人として、海外子女教育振興財団(JOES)が設立。日本の経済活動の国際化にともない重要な課題となっている、日本人駐在員が帯同する子どもたちの教育サポートへの取り組みを始める。平成23年(2011)4月には内閣府の認定を受け、公益財団法人へと移行。新たな一歩を踏み出した。現在、海外に在住している義務教育年齢の子どもたちは約8万4000人。JOESは、海外進出企業・団体・帰国子女受入校の互助組織、すなわち良きパートナーとして、持てる機能を十分に発揮し、その使命を果たしてきた。

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