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【ニューヨーク不動産最前線】
コープ購入のポイント
- 2022年8月4日
NYCの住宅物件の内訳は、7割以上がコープで、残り3割がコンドミニアムと賃貸専用アパートを合わせた割合となっています。市内の大多数の物件がコープです。
コンドミニアムは賃貸にも出しやすく、購入時のいろんな制限もありません。購入後の維持費を払えるという証明さえすれば外国人でも外国居住者でも買えるので、日本人にも馴染みがありますが、実は市内の大部分の物件はコープなのです。こんなに数が多いのに、なぜコープが日本人を含む外国人に人気がないのかちょっと不思議ですね。今日お伝えするコープの特徴を知れば、なるほどと思っていただけると思います。
実はコープは数が多いだけではなく、コンドミニアムに比べて値段が安いのです。1980年代以降に建てられたビルはほぼコンドミニアムなので、コープは古いビルが多いというのが特徴です。同じ年代のコンドミニアムと比べても、2〜3割は安く購入できます。逆に言うと、古いビルが好きな人にとって、たとえば Pre-Warと呼ばれる第二次世界大戦前に建てられたアールデコ調やビクトリア調のビルはとても人気なのですが、コンドミニアムではこのようなビルはありません。天井が高く内装が凝っていて、かつ頑丈に作られている Pre-Warコープにはファンがたくさんいます。それならなぜコープを買わないの?と疑問が湧きますが、値段の安さと建物の様子だけを見てコープにしようと思っても、探し始めると心が折れるということがあるのです。
コープは基本的に本人居住用なので、賃貸目的の購入は不可。貸さないとしても本人のメインの住居とする必要があり、別荘とかセカンドハウスとしての利用は認められない場合がほとんどです。ビルによっては、購入者自身の収入がないと審査にパスできません。家族からの資金援助もダメです。銀行ローン(モーゲージ)を受ける場合は、ダウンペイメントの金額もコープによって決められています。最低50%ダウンペイメントが必要というのは珍しくありません。
以上の条件をすべてクリアしても、さらに細かく条件が付けられます。まず、購入後に残る手持ち資金が決められています。パークアベニューや5番街の物件は特に厳しく、購入後のキャッシュが物件購入価格と同等〜2倍と決められているところもあります。1Mの物件を買う場合は、購入後にも1M〜2Mの流動資産が銀行に残っていることが求められるのです。ちなみに不動産は流動資産にはカウントされません。
毎月のDTI(収入に対する支出の割合)もコンドミニアムより厳しく設定されています。コンドミニアムの場合はDTIが30〜33%でOKなのに対して、コープの審査をパスする目安は28〜30%とハードルが高めです。
お金の問題はまったくなし、以上の条件はすべてクリアで書類審査をパスすると予想できても、最後にボードとの面接があります。企業面接と同じで、ここで落とされるケースもあるのです。我が社の社風に合いません、という感じで。たとえば、映画俳優とかセレブリティー、政治家といったように知名度がありすぎると、追っかけや取材陣が押し寄せると他の住民に迷惑がかかるからという理由で断られるケースもあります。
何カ月もかけて準備したのに最後に審査落ちとならないように、コープの購入には前もって入念な調査と準備が必要です。
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